ほぼ足りてまだ欲 その先

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田中正平

 BS Japanで「ヨーロッパ 音楽の旅 〜ドイツ皇帝が愛した幻の楽器と日本人〜」という番組をやっていて偶然見てしまった。西村由紀江というピアニストがかつてドイツに留学していた田中正平(1862年5月 - 1945年10月)が考え出した「純正調」のオルガン「エンハルモニウム」を探して歩くという番組である。普通の鍵盤楽器やフレットのある楽器は音階が不連続で半音ごとにしか音が出ない。そうすると和音を作り出す時に若干のずれが出る。それを私たちはそれでいいやとごまかして、あるいはそれはそうしたものとして受け取ってきてしまっているけれど、田中正平は一音を1/8に区切ったところまで理想を追った鍵盤楽器、パイプオルガンを作ったのだそうだ。実機はドイツが受けた二度の戦争をくぐり抜けられなくて、もう残っていないが、その理論を受け継いだパイプオルガンを見つけ出し、それを最後は西村が弾くという寸法である。
 最後はウィーンにまで行くのだけれど、やっぱり豪勢な商人が住んでいた街だけあって、そこに出てくる教会なんか、いやもう、華美な後手後手であるのだけれど、一度はあんなものを見て見たいものだと思ってしまうのだ。
 それにしても大変恥ずかしながら、小生は田中正平なんてこれまでに聴いたこともなかった。