ほぼ足りてまだ欲 その先

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「さまよう日の丸」

 今日の「クローズアップ現代」は「さまよう兵士たちの日の丸」と題して戦争中に米国兵が戦利品として持ち帰った「武運長久」と書かれ、多くの人が寄せ書きをした日の丸の話。
 私も23-24年ほど前にかつて米国オレゴン州にいっていたお知り合いの方が預かったこの種の日の丸を預かったことがある。番組中にも当時20歳で持ち帰ったけれど、今、持ち主の遺族に返したいと真剣に希望している米国人も登場する。
 ゲストの半藤一利がいっていたようにこの種の日の丸が米国内のコレクターの間で売買されているのを知ってとても驚いた。半藤は「驚くというよりも悲しみを覚える」とコメントしていた。
 私も番組中に紹介された「旧日本軍人の遺留品の持ち主を捜す」サイトのことは今年になってから知り、なるほどこうした活動がないと遺族に返されるチャンスはとても少ないということを認識していた。
 私はその日の丸を預かった当時は全く途方に暮れてしまって、当時はまだ新聞の夕刊に稀にそうしたものを遺族に返したいという記事が掲載されることがあったのを思い出して、朝日新聞に相談し、掲載して貰ったことがある。しかし、残念ながら全く反応はなかった。以前にも書いたように、結果的には靖国神社の方にお預けすることになった。
 あの戦争で310万人のわが国同胞が死に、より多くのアジア人、米国人が亡くなった。半藤がいうように私たちは多分地球上で最後の大量な犠牲者を出したあの戦争を正しく見つめ直しておかないとこれから先、禍根を残す国家、国民となりかねない。
 多くの史実からもわかるように、まずいことに多くの資料が失われてしまっているけれど、それでも国家的なレベルで、これからでも遅くないから正しく総括して行かなくてはならないだろう。そのためにも史実をなんの意図的解釈なしに再構築して行かなくてはならない。
 ごり押しの解釈で為にする歴史に作り替え、意図的な美化をしてはならない。よしんばそれが直視するには耐え難い、民族的に屈辱となりうるものであったとしても、事実は事実として積み上げ、それを結果として理解することが本来的にあの戦争で命を失った人々への鎮魂であるだろう。