ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

あれはなんだったのか

 ラジオ深夜便で「茄子」の話になった。なぜかうちのオフクロは茄子をあんまり料理しなかった。焼き茄子ひとつやらなかった。せいぜい糠味噌漬けくらいのものである。そういえば当時はどこの家にも必ず台所の床板を外すと、甕やら琺瑯引きの寸胴のような入れ物に糠が漬かっていて、必ずオフクロか長姉が手をまくり上げて、ぐわっぐわっとかき回したものだ。
 小学校低学年の頃、うちからそれほど近くないところで、崖下に建っている一戸建ての小さな家になぜか私だけ遊びに行く家があった。その家には他に子どもがいるわけでもなく、姉弟で行ったこともあるんだけれど、私ひとりで行ったことの方が圧倒的に多かったような気がする。一体全体、なんで私はそのうちに遊びに行くことになったのだろうか。かすかな記憶ではそのうちに泊まったことだってあったような気がするのである。もはや両親ともあっちにいっちゃっているので、聞き出す術もない。
 その家で飯まで食った記憶がある。そこで茄子をフライパンでバター焼きにしたものがでた。実は私は牛乳が嫌いで(だから背丈が伸びないといわれていた)そのバターの匂いが獣臭くて(明治の御代じゃあるまいし)嫌いだったから、食べられないと主張した記憶がある。今だったらバターで焼いたらうまいだろうというだろうに。当時のことだから、バターで焼いてくれたのはごちそうだったに違いないのに。それ以来うちで茄子を自分で「油」で焼いておかずにすることが増えた。