日本の不動産会社がSydneyのある場所に作られているアパートを売り出している広告を偶然見た。その名もThe Waterfrontという名前になっている。2000年にSydneyでオリンピックが開催された時の主競技場にほど近いところである。場所の名前はかつてはHomebush Bayと呼んでいたのだけれど、再開発にあたって手垢にまみれた名前はイメージが良くないらしくて、Wentworth Pointというなんだか由緒ある響きの名前に変わったけれど、なぁに、元はといえば工場地帯である。
オリンピックが迫ってHomebush Bayがどんどん変わりつつある頃、メインの道路を挟んだ反対側はどんどん新興住宅地に開発され、売り飛ばされていった。このあたりはろくな緑もなかった。あれから10年の間にSydneyはどんどん住宅バブルが盛り上がり、住宅の値段は驚くほどに高騰した。もう今ではその新興住宅地もかなり落ち着いたことだろう。
しかし、あの工場地帯はかなりな土壌汚染で問題になっていたはずである。面しているパラマタ・リヴァーは水質が汚染されていたことでも有名で、シドニー大学の水質研究の先生の話を一度聞いたことがある。そんな環境にある地域を再開発して、自然一杯の高級住宅街なんだとして売りに出してしまうのはいくら金持ち相手の商売だとはいっても、もしそれが私の商売になるんだとしたら、私は降りる。Sydneyも相当に住宅地に困っているんだろうけれど、ここに住みたくはないな。
