今はなきパン・アメリカン航空が協力していた日本テレビの朝の番組、「兼高かおる 世界の旅」のテーマソングがこれだった。兼高かおるといったら1928年生まれだそうだから今年82歳になるはずだ。あの番組が始まったのが1959年というのだから、私は当時小学6年生か中学1年で、多分その時は静岡の清水にいて日本テレビはネットされていなかったような気がする。だから、この番組を見るようになったのは横浜に帰ってきた中学2年生の時だろう。
この番組が私に与えた影響というのは相当に大きかったような気がする。兼高かおるは香蘭女子から米国に留学したというのだし、あの喋り方だったから相当良いところのお育ちだったんだろうに、どこにでも入っていってなんでも経験する。私にとっての海外への窓としては小田実と同じ役割を果たしていた。こんなことを云うと小田実が苦笑するかもしれないが。
彼女の話の聞き手は芥川隆行で、この人は時代劇のナレーターとしてもう既に一時代を築いていたからその点では違和感が否めなかったけれど、そのうちに慣れてしまった。
あの番組と来たらテーマ音楽は「八十日間世界一周」という映画のテーマ曲で、如何にも空に飛び立つ気分にさせてくれるものだった。日本という国を飛びだすと云うことになにか特別なものがあるような気分が充ち満ちていたあの時代と、今とではとても大きな違いがあるんだろうとは思う。
