ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

マスコミ報道

 10月24日、11月5日に「検察糾弾デモ」が行われたことはここでも書いたけれど、それぞれの参加者は主催者発表(通常は実態よりも多めだというのが常識のようだけれど)で、1,000人、1,200人といわれている。実際にデモに加わって歩いていると自分は列の中に埋没しているので、一体どれほどの長さになっているのかわからない。だからこれが本当に正しい人数なのか、サバを読んだ人数なのか、良くわからない。(なんで「サバを読む」というんだろうか。)
 で、このデモについてはマスコミはどこも何も書かない。多分このデモを計画した人たちもマスコミに連絡はしていないのだろう。なにしろ「マスコミは真実を報道しろ!」とか「マスコミは官房機密費で飯を食うな!」とかシュプレヒコールしているわけで、マスコミ諸君にとってははなはだ面白くないのに違いない。
 ところで昨日は日比谷公園の野外音楽堂に多くの人たちが日の丸の旗を手に手に持って集まり、そこから出発して銀座の目抜きをデモ行進したと新聞・テレビ・ラジオが報道している。
 「自由と人権・アジア連帯集会」という名目だったそうで、野音の壇上に座った人たちはこんな具合。(有名人はわかるけれど、その他は実を言うと殆ど誰だかわからん。そっち系に知り合いがいないからだ。知り合いを欲しいとも思わんけれど。)
田母神俊雄小池百合子山田宏西村眞悟ペマ・ギャルポ、イリハム・マハムティ、黄文雄、黄敏慧、ダイチン、鳴霞、アウ・ミ・ジュン、萩生田光一赤池誠章馬渡龍治、林潤、土屋たかゆき西尾幹二加瀬英明飯塚繁雄、西岡 力、三浦小太郎、殿岡昭郎、山際澄夫西村幸祐Saya英霊来世松浦芳子三輪和雄柚原正敬永山英樹高清水有子水島総
 主催者発表で参集者は朝日新聞によると4,500人(もちろん実数かどうかはいつものように判然としない)。毎日新聞では4,000人。NHKは3,800人。FNNは3,000人。良く見ると西村眞悟元先生のお名前はお久しぶり。わかっている人には良くわかる、あの系統の人びとである。
 とかくこの手の集会を見ていて面白いのはやっぱり「敵の敵は、友」という論理が戦前、戦中から今に至るまで全く変わっていないことで、その論理は日本はアジアと手を携えて中国と闘うぞというスローガンが、当時の西欧植民地支配からの脱却と正に呼応するという不思議さだろうか。フリー・ティベット活動家まで取り込まれている。つまり、中国の支配に対する抵抗運動も同胞としている点が同床異夢という言葉を思い起こさせる。
 その後のデモ行進ではグループをしっかりと分けてコントロールし、マスコミのカメラに写りやすく取り上げられやすいスタイルを創り上げられている組織的完成度の高さを見せていたようだ。あれだけの日の丸を集め、子どもを動員し、政治団体の匂いが強いのは運動が盛り上がったように見せるには有効だろう。
 そこにいくと10月24日と11月5日の1,000人、1,200人のデモのまぁ、組織だっていないこと。なにしろ一人での参加者がその大半だものだから、集合場所にやってきても、話し声一つしない。相手が誰だか知らないのだし、このデモの主旨に賛意を表して集まってきているのはわかるけれど、一体どんな人かもわからない。だから、プラカードもばらばら。電車の中で目立ちたくないからそんな大きな一体ものを持ち運べないから、やたら小さな、折りたたみ形式を自分で作ったプラカードで、手書き。しかも漢字が間違っていたりする。その上平均年齢が高いことこの上ない。中には杖をついている人だっている。とても威勢がよいとは言い難い。だけれども、シュプレヒコールは高い。ただし、ハンドマイクはたったひとつ。あとはみんなが声を張り上げるだけだ。本当に手作りのデモで、全体的にはくすんだ色だ。
 新聞にも書かれない、テレビもラジオも放送では映らないし、語られない。
 デモの始まりにも、デモの終わりにも派手な集会はない。胸にリボンをつけた人がいるわけでもない。誰かがアジ演説をするわけでもない。デモは集結地に到着するとみんなが自分で自分たちに無言で拍手をするだけで、三々五々、駅に向かって帰って行く。心に危機感を秘めて。日本のマスコミの、そして民主主義の終わりが始まっていることに苛立ちを見せて。