ほぼ足りてまだ欲 その先

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19歳

 去年の7月に奈良で同級生の男子高校生をナイフで刺し殺した19歳の(アスペルガーであるという鑑定結果が提出されていると報じられている)少年の裁判員裁判奈良地裁で開かれていて、奈良地裁橋本一裁判長は、イラストは後ろ姿だけにと要望していたにも関わらず、その横顔イラストを19日付けの朝日新聞が奈良版に掲載したことから、各社にこれ以降のイラストの掲載を禁止すると通告した。
 朝日新聞は「顔がわからないように横向きで描いたイラストを掲載した」として被告本人を特定できないようにしたと書いている。
 産経新聞が電子版でその朝日新聞奈良版を掲載しているけれど、被疑者少年が被害者の両親に向かって深々と礼をして謝罪している横姿でこれでは本人を特定できないのは確かだ。特定できないのだから良いではないかと、私は思うが、どうやら橋本裁判長は「後ろ姿」でないことを問題としたということだろう。
 はなはだ狭量な処置で、私は当初、裁判所の要望に応えなかった朝日新聞がバカだと思ったけれど、なにやら専制的な裁判所の考えが許せない。
 朝日新聞ではなくて産経新聞朝日新聞の記事を電子版とはいえ掲載しているところを見ると、これは新聞各社もこの裁判長の処置に抗議の声を挙げているということだろうか。
 しかし、これが検察や警察に対してだったらこんなことができるだろうか?
 ところでこの裁判は裁判員による裁判で行われている。しかもこの被疑者は鑑定の結果アスペルガー症候群との鑑定も出ている少年である。裁判員全員がアスペルガーがどの様なもので、どの様な症状を呈することがあって、どの様なパターンがあり得るのかということを本当に理解することができるのだろうか。この場合死刑になるということは考えられないだろうと思うのだけれど、この被疑者のためにはどのような更生方法が考えられるのだろうかというところまで悩むことになるのではないだろうか。有罪か無罪かを判定することもかなり難しい事件ではないかという気がしないではないが、その上量刑まで考えることになるのでは、裁判員裁判という制度はやっぱり無茶なのではないかという気がしないではない。
少年法第61条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であること推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。