ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

今日の映画

 ネットも、ましてやtwitterfacebookに手を染めたことのない連れあいは決して見に行きたいといわないだろうと思って、午後の「ソーシャル・ネットワーク」の回をネットで切符を買って、丸の内ピカデリーに見に行こうと準備をしているところに当の連れあいが帰ってきて「えぇ〜、それ見に行きたいのになぁ」というのである。
 だって、中で語っていることがわからないかもしれないよというと、それでも「ゴールデン・グローブ」取ったっていうから、というのである。なるほど、そういう見方があったのか、というか、多分そういうふうにしてみるものなんだろう。だからこそ丸の内ピカデリーなんて大きなところで公開するっていうわけなんだろう。
 しかし、この映画は相当にマニアックだと私には感じたなぁ。映画の最初っからこの主人公のMark Elliot Zuckerberg(これはfacebookを開発した本人そのものの名前だ)がデイト中に相手のErica Albrightを小馬鹿にした会話で彼女を怒らせて振られる。寮の部屋に戻ったMarkがブログに腹立ち紛れに彼女のことをあしざまに書き連ねたところから始まる。いかにもありそうだ。しかし、この男は如何にもぶっちゃけてしまっている。
 帰ってきてからネットであちこち読んでみると、Mark Elliot Zuckerberg自身はこの映画と、同時進行した小説について全く取材に応じていない。だから、本人自身の言い分は全く反映されていないわけで、事実に基づいているかの如くに見えるけれど、実はそうとはいいきれないんだという点は認識しているべきだろう。ま、つまり、いつものハリウッドだということだ。
 ネットなんかに興味のない方々もどんどんご覧になって構わないだろうけれど、これだけは云っておかなくちゃ。心臓がフィジカルに弱い方はお止めになった方が良いかもしれない。途中に出てくるクラブ(昔のじゃなくて、今の若い人たちが後ろにアクセントを置いて発音する、今時の奴)の場面の音が無茶苦茶心臓によくないと思うからである。心臓がへたりそうだ。
 このポスターの作り方はどこかで見たことがあるなぁと思ったら早川書房マイケル・サンデル先生本「これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学」の表紙の雰囲気でしょ?
 この映画のエンド・ロールの中で私が見付けた日本人若しくは日系人はVisual Effectsで知られたKazuyoshi Yamagiwaひとりだけだったようだ。
ネタバレになっちゃうかも知れない危険があるなぁ。ここから先は映画をご覧になる予定のある方はおよしになった方が良いだろう。
 心の底から快哉を叫ぶ映画じゃないことだけは確かだ。こいつは金を儲けたかも知れないけれど、人間的には楽しくない。Sean Parkerという男にぞっこんになって行っちゃう。こういうパターンはどこかでも見たような役回りで、如何にもハリウッドの映画っぽい。ビル・ゲイツは本物が出演しているのかと思って、私はどこかにそう書いてしまったけれど、実はそうではなくて、Steve Siresという役者だというのには驚いたぞ。ほんのちょっとしか映らないのだけれど、実に本物そっくりだ。
 もうひとつ驚くのは、学長が二人を前にして「ブルックス・ブラザースのセールスマンが来たのかと思った」と思わずいうボート部の双子Cameron WinklevossとTyler Winklevossがいるのだけれど、これがArmie Hammerという役者の一人二役だってのには参った。道理でダブル・スカルを漕いでいるときに片方がサングラスなんてかけていたわけだ。
 Andrew Garfield演ずるところのEduardo Saverinという役は学生の起業グループに如何にも良そうなお人好しなパートナーで泣かせるのだ。そうなんだよ、馬の眼を抜く汚ねぇ大人はどこにでもいるんだよ。
 facebookがとうとう100万人の登録者を得た日に大騒ぎのパーティーをやってそこに警察が踏み込んでくる。そしてそこにいた女の子達に「歳はいくつだ!?」と訊ねる。すると全員が「twenty-one」と答える。警官が「ホントかっ!?」と再度確かめると、ひとりの女の子が「すみません・・・!」と思わずいう。そこはカリフォルニアだ。だから21歳なんだけれど、未だに変わっていないってことだ。私が初めてカリフォルニアに行ったのは22歳の時で、ID代わりにパスポートを見せないとbarに入れてくれなかった。「You look like sixteen!」とからかわれたものさ。あれは「El Matador」という店だ。この映画には誰かが誰かを殴る場面が絶無。その代わりにドラッグ、アルコールがばらばらと。