ほぼ足りてまだ欲 その先

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反省

 私はかつて阿久根の前市長だった竹原信一を否定的に捉えていた。彼がウェブ上で市の職員の給与を公開したのはとんでもない話だと指摘していたのだけれど、それは余りにも市の職員の人件費が市の予算に占める部分が多いということと、阿久根市の一般民間人の平均収入に較べて高いことを見せて、市職員の人件費を削減する必要があることを市民に訴えていたということだった。しかし、当時は市職員のプライベートを公開するという暴挙と捉えて、この男はなんということをしているんだろうと大いに疑問に思ったのだった。
 今から考えてみれば、彼がやったことは地方自治の革命だった。今名古屋市では「減税」を訴えている市長が登場してきた。これは方向性が逆だけれど、これまでの地方自治の考えを根本的に考え直すという点では近い発想がある。ただ、私は竹原の考えの方が合理性があるように思う。歳入を減らすのであれば、歳出を減らさないと理屈に合わない。しかし、歳出をまず抑えたら、次の手だてが見えてくる。
 多少古いニュースだけれど、朝日がこんなことを知らせている。何を意図しているかわからないマスコミの情報だから、ニュアンスは度外視して、中身だけを見るべきだろう。

 西平良将市長は、市議会の議員報酬を日当制から月額制に戻す条例案を、16日に開く臨時議会(会期1日)に提案することを明らかにした。ボーナスを除く一般議員の年額は、現在の70万円程度から4倍以上になる見込み。西平市長は「日当制以前のこの額を土台に、議会が今後自主的に減額する方向で、妥当な額を議論してほしい」としている。
 議員報酬の日当制は竹原信一前市長が専決処分で昨年7月から導入した。全員一律1日1万円。本会議や委員会に出席した際に支給されてきた。今回の条例案は3月1日施行予定。月額で議長が37万1千円、一般議員が26万3千円と元に戻る。
 臨時議会には、4割削減中の市長と副市長の給与を、それぞれ2割削減、1割削減に緩和し、給与を増やす条例改正案も提案する。可決されれば、市長給与は現行の月額48万円から64万円に、副市長は38万円から57万円になる。
 空席の副市長に県の地域政策課長補佐を起用する人事案の提案も予定。これに関し、県から同課長補佐の現行給与との整合性を考慮するよう要請されたため、削減幅を緩和する方針を決めたという。
 賞与も前市長の専決処分で市長と副市長は半減、議員はゼロになっていたが、人事院勧告に沿って新年度は市長264万円、副市長209万円、議員89万円(いずれも夏冬合計)にする方針だ。(Asahi.com 2011年2月12日21時30分)

 どうだろうか。先日の市長選挙阿久根市民はどんな選択をしたということなのか、これで明確になったのではないだろうか。阿久根市の財政が困惑を極めたとしても、それは市民の選択の結果であるのだから、致し方がないということになるのだろうか。
 昨日の市議会の結果を南日本新聞が非常に簡潔にこう報じている。

 阿久根市議会は16日、臨時会(1日間)を開き、西平良将市長が提案した市議報酬を日当制(1万円)から従来の月額制(26万3000円)に戻す議案を賛成8、反対7で可決した。副市長に県課長補佐の馬場義孝氏(54)を選任することに賛成12、反対3で同意した。
 日当制は竹原信一前市長が昨年7月、議会に諮らず専決処分で執行した。月額制議案には竹原氏派の全4議員が反対したほか、反竹原氏派のうち3議員が施行日を今年3月1日としたことについて「違法な専決は起点にさかのぼって修正すべきだ」と主張し、反対に回った。(2011-02-16)

 市議報酬については賛成と反対が8対7と拮抗していたように見える。やはり良識派残っているのかと思ったら、竹原派の4人の他の反対票を投じた3人というのは月給制の復活を今年の3月からではなくて、日当制になった昨年の7月からにして、その不足分を払わせようという考えだ。
 これを聞いて阿久根市民はどう思っているのだろうか。沈みかかっている船からまだなにがしかを持ち出そうとしている議員で成り立っている議会を抱える気分はどんなものだろうか。しかし、これは多分阿久根市に限ったことではないだろう。東京都だって、平気で億というケタの出張費を遣い倒すバカ知事を抱えて、なんとも思っていない都民は馬鹿だといっても差し支えないというべきだろう。