ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

東電会長記者会見

 東電の社長が入院した状況で、今日は東電・勝俣会長の記者会見があった。全部で2時間にわたる記者会見だったそうだ。その全容をこちらで見ることができる。
 勝俣恒久会長、藤本副社長、武藤副社長ほか4名が出席し、広報が司会をする。(勝俣恒久:1940年3月生まれ。新宿高-東大・経済卒。1963年入社。)あたかも社内の新年の挨拶をしているかの如く、準備した紙を朗々と読み上げ、この惨事の要因は地震であり、東電は原賠法に基づいて補償すると宣言しており、法によって規定されている部分のみの賠償しかしないぞとはっきり言明。この「演説」の作成準備については顧問弁護士も参加しているであろうことは容易に想像がつく。約10分間の演説の後、質疑応答となった。

  • 赤旗津波対策をなぜ行わなかったのか。これまで指摘されていたではないか。勝俣社長時代にも指摘されていたではないか。責任を認めるか。
  • 勝俣:地震津波においては最大限の過去の発生に対して設計してきたつもりだ。どうしてこういうことになったかも含めて調査研究していく。こうした事態になったことについては大変に申し訳なく、真摯に受け止めている。(どうやらその後の質問に対する回答をきいていると想定問答集が多岐に渡りできているという雰囲気がある。その証拠に隣に座っている武藤がいちいち頷いていることからもわかる。)
  • (28’30”)遅きに逸していたんじゃないか、という指摘に対して、自分はそうは感じていないけれど、客観的にそうしたところもしっかり調査して悪いところはきちっとそうしていきたい、ベストを尽くしたと考えている。(武藤深く頷く)。
  • 個人としての補償をしようと思うか、という質問に対して、プライベートに関わるのでお答えできないとし、広報が次の質問者に切り替える。(このあたり、かなり作戦会議があったことを思わせる)。
  • 海水投入については全くためらいはなかった。
  • (60’00”):田中竜作:地震当日勝俣会長はマスコミ幹部を引き連れて中国にいっていたが旅費は東電持ちだったのか。
  • 勝俣会長:詳細は良くわからないけれど、私達は当然のことながら自分達の分、一部の負担をしておりますが、全額東電負担ではない。
  • 田中:じゃ、一部を東電が出したと云うことですね?
  • 勝俣会長:詳細は良くわからないですが、多めに出している。
  • 田中:東電とマスコミの癒着が不審をかっています。
  • 勝俣:マスコミ幹部ではなく、OBの方たちで研究会、勉強会。私のプライベートに関わることで誰なのかということを明らかにするわけには行かない。
  • 田中:プライベートじゃないでしょ。
  • 勝俣:責任者の方に確認してどうするかというのを対応を2-3日中にどうかということを照会します。私も良くわかってないんですが・・。(申しわけありませんが次の質問をお願いします!とMCが切ろうとする)
  • 田中:南相馬にひとは出ていない。
  • 勝俣:ほとんどのところにいっております。

 (この辺の質疑のところをご覧いただければ、如何に東電がこの会見を強引に勧めようとしていたか、そしてそのために記者クラブ・マスコミが非常に協力しているということが良くわかる。是非、ご覧になることをおすすめする。)
 私はこれまでこの種の記者会見を何回か見てきているけれど、東電幹部のこの態度はとてもこれだけの大惨事に対応している態度とは思えない。これはやはり企業文化といわざるを得ない。如何に独占企業の社風というものが独特かということではないか。
(87’)

  • 岩上安身:最終の姿はどう考えているのか。そこまでどれほどかかるのか。冷却システムの復旧は通電だけではわからない。機械系が故障していたらどの様に手だてを打てるのか。モニタリング・ポイントの数が少なすぎないか。国民の不安は放射性物質の悲惨に映っている。想定できる広汎な地域に自らの責任を持って測定するべきではないのか。原賠法の当事者として加害責任について積極的に調べ開示しないのか。
  • 勝俣:冷却から始まっていろいろな課題を、最終的に遮蔽をどうやってやるのか。種々検討。まだ確定していない。冷却システムは指摘の通り、なかなかうまく対応するのが難しい。ひとつひとつ点検していくのが難しい。まず、排水。そのあとクリーンにしてひとつひとつ点検していく。そういったことで冷却。他の方法でも冷却できないかを検討しています。代替え手段についても多種多様なものを調達している。ある意味ポイントが少なかったモニタリングについても今日から30ポイント増加することをはじめた。国の保安院がしっかりと見ること。
  • 岩上:周囲はチェルノブイリのように永久的に入れないような土地になるのか。
  • 勝俣:地域への影響はこれからどうなるか検討しているところで時期もいえない。
  • 共同:銀行団以外からの資金導入の手段があるのか。火力等を使って発電量を増やすけれど料金に反映するのか。
  • 勝俣:資金については復旧費、原賠法の適用があるので見通せない。民間企業としてのスリム化は図っていく。料金への反映は難しいが、燃料調整条項をどうするんだ、他のはどうするんだというものがあるので、この辺も今後のケースを作っていってみれば対応をどうするのかということかと思っております。

 今回の記者会見で建前の上では東電は今後のことについてはまだ何も、なぁ〜んにも検討してできていないということのようである。
105’ 日経・野沢:(twitterのタイムライン上で話題になっていた「会長様」と呼びかけたのはこの記者。)

  • 社長時代から3つのE、環境性、供給安定性、経済性を仰っておられましたが、現在でもそう考えておいででしょうか。(以前から、出入りしている記者でないとこの辺の感覚は捉えられない。自ら自分はこの業界を担当していますよと宣言しているようなものである。)

 全般的に聴いていて思うのは、こんなことになっちゃったけれど、なっちゃったものはしょうがないという感覚の上にいるように見えてしょうがない。とんでもない事態に陥っていることを認識し切れていないという印象は拭いがたい。