このブームは何をきっかけとして起こっているのかよく知らないのだけれど、ここのところ文具界では思いもよらない色のインクを新発売するというブームが来ているんじゃないかと思っているんだけれど、違うだろうか。そういえば私の中ではこれが初めてではなくて、どうも二回目くらいに思っているのだけれど、ペンとインクの歴史はそんなに浅くはないので、何度も何度も繰り返す波の中にいるのに相違ない。
セーラーが出している極黒(きわぐろ)という超微粒子顔料インクというのは、昔からある顔料インクが万年筆に使うと乾燥して目詰まりを起こすという欠点を解消しているんだそうで、漫画を描く若い人たちに随分支持されているんだと聞いたことがあって、酷く驚いたのだ。そうか、そういう需要があるのかと。同じ路線でセーラーは青墨(せいぼく)という色も出している。とはいえ、万年筆に使うのには結構勇気が要る。だったら安い万年筆で試してみれば良いやと思ったら、セーラーの安い万年筆というのは、実にどうしようもないのだった。
かたやパイロットは色彩雫(iroshizuku)なる17色もの抑え気味でなかなか洒落た色のインクを出している。→こちら。ブルー系やセピア、焦げ茶くらいは使ってみたい気はするけれど、赤系は使ってみたいとはこれっぱかりも思わないが、ひょっとするとこれを使ってペン画ってものを描いてみると面白いかも知れないが、残念ながらそんなに揃えるほどの財力と、絵を描く才能を備えていない。
こちらのターゲットは一体誰だろうか。ひと瓶1,575円するインクをいくつも手元にもって管理する人、というのは誰だろう。こちらは「万年筆インク」と書いてあるくらいだから顔料インクではなくて、管理も楽なんじゃないだろうか。そのうち簡単な万年筆にちょっと変わったインクを使ってみようかとも思うけれど、鉄ペンは下手をすると錆びるから、難しい。
私は日常はPelicanの安い万年筆を使っているのだけれど、ここのカートリッジインクではroyal blueという色が発色がよくて好きだけれど、不思議なことにあとでそのメモを眺めて何かを書き起こそうとすると、あんまり集中ができない。結局blue-blackというなんということのない、昔ながらの、中学生の時から親しんできた色のインクで書いてあるのが一番抵抗がない。不思議なものだと頭をひねる。なんでなんだろうか。
その向きはヤンセンだとか、伊東屋の「カクテルインク」なんてものもお試しあれ。