ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

観点

 テレビのニュースを見ていると、一旦海江田万里経産大臣が「安全を確認した」として玄海原発の再稼働を要請された玄海町の岸本町長が、ストレス・テストの考えを伝えられて「二階に上がって階段を外された心境だ」と息巻いて、テレビカメラの前で九州電力に電話をかけて「再稼働を了承したけれど、あれは撤回する」と伝えていた。
 電発立地各県の県知事が全国知事会原子力発電対策特別委員会に集まって「青森、新潟、茨城、島根、佐賀の各知事が出席。県議会中のため欠席した福井県の西川一誠知事はビデオメッセージを寄せ、全原発を対象に実施するストレステスト(耐性調査)について「立地地域への説明がない」(日本経済新聞2011/7/7 23:20)」と政府を批判しているのだそうだ。

 中国電力島根原発を抱える島根県の溝口善兵衛知事も「政府が真摯(しんし)にやる姿勢がなければ、何かを決めるのは非常に難しい。政府に猛省を求める」と述べた。
 茨城県の橋本昌知事は、ストレステストの実施自体は評価しつつ「何をやるのかはっきり示されておらず、いかにも唐突だ」と指摘。青森県三村申吾知事は「急な話で驚いている。エネルギー政策全般について、国が基本的な方針をしっかりと示すことが重要だ」と注文した。
 新潟県中越沖地震の経験を持つ新潟県泉田裕彦知事は「一度安全を宣言してから『やっぱりストレステストをやる』と言えば、原子力行政に対する不信を高めるだけだ」と政府批判を展開した上で「政争の具になっている現状は極めて不幸だ」(毎日jp2011年7月7日 21時8分 更新:7月7日 21時33分)

 まぁ、今更大手新聞やテレビの報道を中立なものとしての前提で語る気は全くないが、報じられるべきは菅直人政府がやることが唐突で、説明がないというものであるはずだ。尤も説明がないから唐突なんだよ。
 これは原発を肯定するという時点の話ではないはずだ。福島第一原発でこんな深刻な事態を招いた原発をなにも顧みずに、今のところ顕著な問題はないから再稼働させちゃいましょうということで、根拠を示すこともなく再稼働を要請にいった海江田万里霞ヶ関に騙された愚かな大臣であるに過ぎない。時期が来ても来なくても辞任したらよい。確かにこれまでの自公政権だって殆どの大臣は霞ヶ関のいいなりだったんだから誰も責めることができるものでもない。片山さつきだって威張っていえるもんじゃない。自分は霞ヶ関側だったんだから。
 問題は多くのマスコミが「やる、やると云っておいで突然まだ駄目だというのはどういうことか」といって「この夏の電力不足をどうやって私達市民は乗り越えたらよいのだろう」キャンペーンを張り、「ひょっとしたら冬だって安心じゃないんだぞ」キャンペーンまで張りだしているということだ。
 某テレビ局に至っては東宝に取材して東京宝塚劇場がこんなに苦労して宝塚の公演をしながら裏で節電していることを「苦労話」として取り上げたりしている。他に報ずるべきアイテムはいくらでもあるじゃないか。取材に応える方も応える方だ。今時ひっそりとやっていくべきじゃないかと思うけれどなぁ。それよりも首都圏に大規模地震が来た時の観客誘導をどうするのか、放射能汚染が及んだ時にどうするのかの考えを取材した方が良いのではないのかと余計な心配をする。
 原発立地の知事、地元自治体は原発が動くか動かないかで実入りが違ってくる。だから、彼等にとっては動くということに関しては根拠は要らないけれど、動かさないということに関しては根拠を要求するという実に簡単な仕組みだ。
 原発が如何に未成熟で未完成な技術であるのかということなんかはどうでも良い。自分が首長の地位にある時にこれまでの状態から変化してしまうことがイヤだというにすぎない。彼等が退歩だと思っていることが地球上の全生命にとって前進だということがわからない。電力独占企業がこれほどの網の目をはって自分達の利益誘導を計ってきたことに気がつくと唖然とする。どこから崩せばよいのかといったら霞ヶ関と永田町だろう。そのためには取り敢えず東電と霞ヶ関の繋がりを断ち切らなくてはならない。