ほぼ足りてまだ欲 その先

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与話情浮名横櫛

 半年に一度の金原亭馬生師匠の落語の会。今日は真っ昼間、午後12時半開場ってんで暑い中、会場の銀座8丁目14−5、鰻の神田川にむかう。途中三越での用事を済ませて、ぶらぶらと中央通りと昭和通りの間を行くと、とても銀座とは思えない物静かな佇まい。週末はこの通りも3-4丁目辺りに行くと、競馬の場外馬券場を中心に結構な人混みなのに、こっちはまるで忘れ去られた様な案配だ。
 三井ビルの前の昭和通りに架かっている歩道橋をエスカレーターで上がれば一発だと見当をつけてきたのに、「節電」という奴でこれが動いていない。汗をかきながら階段を上り、昭和通りを越える。
 今日の噺は「与話情浮名横櫛」のうち、与三郎が木更津へ流れるきっかけから、木更津をたっぷりとやって、「源氏店」の雰囲気を芝居仕立てでくすぐってみせるわけだけれど、ここまででなんとたっぷり1時間という熱演である。
 この噺はとにかくめったやたらと長い噺で、芝居だって全部やったら九幕三十場ってぇくらいだから、殆どは「源氏店」しかやらない。
 このあと与三郎はとっつかまって佐渡島流しになり、今度はそこから抜けて(島抜け)、まだまだ延々と続くのである。そういえば「島抜け」も先代の馬生師で聞いたことがあったっきりだ。
 それにしても歌舞伎演目の筋書きにしてもオペレッタやオペラの筋書きにしても、ま、まさかそんな具合に世の中上手く展開したりしないだろう!という驚くべき筋書きが満載で、あとから冷静になって考えてみると、腑に落ちないことばかりなんである。だからこそ面白いのかも知れないし、だからこそ歌舞伎なんぞで見る時はイヤフォン・ガイド(英語ではvoice guideだろうか?)が必要ということである。
 例年2月に国立演芸場で開かれる「鹿芝居」だけれど、今年は会場の関係で、開かれなかったけれど、来年はこれまでの様に開かれるらしいというお話をお伺いして、また楽しみが戻ってきた。
 いつもの様に鰻をいただいてから、原宿へ出て某ビルの3階で催されている空山基の個展を覗く。話は尽きずに延々と9時近くまで続き、家に帰り着いたら夜の9時を針は回っていた。