ほぼ足りてまだ欲 その先

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煮た竹輪

今週のお題「お弁当の思い出」
 うちのオフクロの弁当の得意技は竹輪とか焼き蒲鉾とか魚の卵、例えば鱈子なんてものを醤油で甘じょっぱく煮るってものだった。だから、ひらったい弁当箱の中にそのまま入れられちゃうと煮汁が滲み出てきちゃって、教科書が醤油の匂いと沁みになるということが屡々あった。あの人はそういう想像力の働かない人だった。というより、多分そうした弁当を作るのは本当は好きじゃなかったに相違ない。だから、そのうち弁当箱に入るおかず入れという、蓋にゴムパッキンがついていて、がッちゃんと挟むようにして蓋をするものを駆使するようになったけれど、確かあれは自分でお金を貰って買ってきたような気がする。
 バスケットボール部の高野君のお弁当はいつも必ずジャガイモの炒めたものが入っていた。ご飯のおかずとしてはどうなの、というメニューだけれど、なぜか毎日入っていた。だから、彼は毎日それを誰かのなにかと交換して毎日違う味のお弁当を楽しんでいた。ある意味で巧いやり方だったかも知れない。
 実はその後も弁当を持っていったことがほんの一年ほどだったけれどあった。それは新婚の時のことだ。先輩が毎日魔法瓶のようになった弁当を持ってきていたのが羨ましくて、私もその弁当箱を買って暖かい弁当を食べられるようになった。あれは嬉しかったけれど、たった一年ほどした続かなかった。