ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

今日の散歩

 ブダペシュトに3泊できると計算していたんだけれど、良く考えて見たら昨日はただ汽車に乗っているだけで終わっちまった。それに泊まっているのが温泉施設で有名なホテル・ゲッレェールトなのに、そっちが終わるのが19時半と早くて、昨日は入れなかった。実はこのホテルと温泉保養施設とは経営が別なんだそうだ。
 で、朝は6時からやっているということなので、今朝は一番にプールにいった。かねてから聴いている話では、スイミング・プールの他に、日本と同じように浸かるプールもあるし、サウナも、ミスト・サウナも外のプールも、男女別々の温泉もあると聞いていたのに、今日はスウィム・プールとその横の36℃の浴槽しか、経験する暇がなかった。
 というのは今日は国会議事堂見学を申し込んであって、そのために国会議事堂に9時45分までに到着しなくてはならない。なにしろいったことがないのだから、早めに行動だ。
 取り敢えず自由橋を歩いて渡る。向こう岸を2番のトラムが走っていて、それの終点が国会議事堂なのだ。いってみるととてもたくさんの人が集まっている。サイレンを鳴らした警察の車が何台も来たと思ったら黒い車がくっついていて、中からSPらしき人たちが降りて周囲を見張る。そんな中遠くの方でなにやらスーツ姿の人たちが議事堂の中に入っていく。雰囲気がとても権威主義的で、社会主義時代に戻ったみたいだ。尤もわが国はこれ以上にもっと権威主義的だけれど。どうもシステムがよくわからないけれど、とりあえず、ロープの向こうにいる、係りの人らしいお姉さんに許可を貰った手紙のプリントを見せて、チケット窓口にいって切符を買ってくるらしい。
 なんだか高圧的な窓口女性から、マニュアル通りと思われる手順で切符を入手。で、また外の列に並ぶのだけれど、外に出ようとするとIDをぶら下げたSPらしき男が入ってきて「今重要人物が出入りするので、君たちはその間ここから出たらいかん」と指示する。スパイ映画に出ているみたいだ。
 私達のガイドは若い女性で、このグループは英語ガイドの一団。全部で35人ほどいる。ガイドのお嬢さんは全部を憶えているみたいで、途中でつっかえたら次がでてこなくなって自分で笑ってごまかすところなんか、日本人そっくり。
 それまでの物々しさや金額からするとちょっと物足りない感が漂うguided tourですが、なにしろ事前に申し込んでおかないと入れないツアーだというので、しようがありませぬ。日本からの団体ツアーの中にはここでの見学が組み込まれているものもあるそうだ。
 国会議事堂の向かいに国立民族博物館がある。ハンガリーの民具や衣装等が展示されていて、安くて誰もいなくて落ち着いて見物ができる。
 ここを出てしばらくすると突然左足の裏にチクンと刺激が走り、石かなと靴を脱ぐ。すると出血している。靴の中を触ると尖っているものがある。石ではない。取れない。靴底を見ると何か小さく光るものがある。手で触ると、なんとこれが長さ1cmほどの小さな釘が刺さっているのである。見事な位の刺さりようである。
 すぐ傍の通りがなんということもない通りだというのだけれど、ガイドブックには アンティーク・ショップが並んでいると書いてある。Falk Miksa utcaのことだ。なるほど歩いてみるとアール・デコ・インテリアの店、ヘレンドを中心とした磁器の店、ボビン・レースやテキスタイルの店と様々なものが並んでいる。この辺は古い車も良く通りかかる。
 ジョルナイ焼きの屋根で知られた郵便局を探してさ迷う。この街も結構迷う。アメリカの旗が建ったビルが大げさな(この場合は大規模なというべきか)改装をしているらしく、周囲を遮断して、入り口には大きな車止めというよりも、車進入阻止防壁を構築している。昔から恐怖に怯える奴は塀を巡らしたり、 岩垣を築いたりするものだ。郵便局はその隣だった。
 大通りに出て昼飯にする。マッシュルーム・スープとチキンの胸肉のなんたらかんたらというものを注文したら、なんとチキンのシュニッツェルだったし、付け合わせはポテトステーキと書いてあったのだけれど、なんてことなくこれはウェッジだった。
 M1(黄色線)の地下鉄に乗ってオペラ・ハウスにいってみると今夜の演し物はプッチーニの「トスカ」だという。すぐに切符売り場の窓口が開いたからどこの切符が空いているのかと聞いたら一番高い12,000フォリントの席しか空いていないという。本当だろうか。日本円に換算したら4,800円である。「一番高い」という言葉に反応するのは「そんな贅沢をして良いのか」という自問自答である。後で後悔するのもしゃくだ。さんざん迷った挙げ句に買うことに決定。上手側一番後ろのボックス7番の前列左と真ん中である。こうして生まれて初めてボックスでオペラ。一旦ホテルに帰り、仮眠をとって着替えて出掛ける。
 前列右側にはヴァルセロナから来たという母親が後ろに座った40歳がらみの娘と座る。この娘なるものが私の椅子に足をぶつけるのが気になって仕方がない。このオペラはイタリア語で演じられるのだけれど、スーパーはハンガリー語しか表示されない。全くわからない。トスカ役のソプラノ歌手、
Eszter SümegiはFerenc Liszt Academy of Musicの卒業生で、パヴァロッティ・コンテスト優勝者ということで実力人気ともに抜群。一幕ごとにカーテン・コールがあるけれど、最後に全員でのカーテン・コールはない。