ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

プラハ離脱、7時間移動

 いつもの朝飯を食べに行くと、食べに来る人が私たちを入れても4-5人しかいない。フロントはあのおばさんではなくて、昨日愛想の最悪だったお姉さんだった。ところがあのお姉さんが今朝は向こうから「モーニング!」といったので二人して顔を見合わせた。そうそう、そうして愛想が良いのが一番だよ。
 すぐに朝飯を済ませて、疑問になっているいくつかの建物を見に出かけた。まずはホテルの裏ぐらいに建っている教会の塔だ。近づいていくと、この塔は単独の塔になっていて、この塔と関連がありそうな教会はそのすぐ向かいに建っているのだけれど、道路とトラムで分断されている。ところがこの塔がてっぺんに十字架が立っていながら「レストラン」という表示の布が下がっている。ひょっとすると教会とは全く関係がなくなってしまっているようだ。
 次に前回も写真を撮った「ホテル・ツェントラル」を見に行く。中まで入ってみると徹底した「アール・デコ」が再現されていて、エレベーターの装飾も見事に再現されている。カメラを構えたところにエレベーターが降りてきて、偶々知らないおじさんを撮影してしまう。この類のホテルは旧ゲットーの「ホテル・パジィージュ」もそうだけれど、修復された部分がオリジナルとどの程度一致しているのか、かつての写真でも掲示してくれていると面白いのにと思う。
 月曜日がお休みだという「ティーン教会」にようやく入ることができた。横の部分はゴシックなのに、真ん中の部分は屋根を見るとロマネスクになっている。ここの教会は入場料を取ったりはしないけれど、写真撮影は一切お断りで、会衆席に座るのも一切お断り。不特定多数の人には入って欲しくもない気分なんだから当たり前だろうか。
 これまで歩いたことのない道を進んでいくと、銀行のむかいから良い匂いがする。パン屋さんがあって、何人ものお客さんが出入りしている。なんだかこの街らしくなくて、あたかもウィーンの街中にありそうなパン屋だ。入ってみるとサンドイッチも、パンも、キッシュも、トルテも、デニッシュもみんな美味しそうだし、コーヒーとのセットもあって千客万来である。今日の長旅のための食料としては、既にホテルの朝飯の時に、例によってハムとチーズとトマトのサンドイッチを作ってある。それでも今日の列車の旅は全部で7時間半に及ぶのだからと小さなグリルド・サーモン・サンドイッチとブルーベリーのトルテを買った。この店の名前は「Paul」と書いてある。経営者が信仰の厚い人で「聖パウロ」にあやかったか、はたまた何人もの嫁さんをもらえるようにPaul McCartneyにあやかったのかは定かじゃない。
 (帰国後調べてみるとこのお店はすでに400以上のお店があるそうで、日本にも既に20店舗を展開しているという。如何に自分が日本の中を歩いていないかの証明みたいなものだ。→こちら

 ホテルをチェックアウトして、隣の両替屋でコルナをユーロに換えようとしたら、やけにお兄さんが焦っている。どうしたのかと思ったらコンピューターがトラブっているらしく、他で換えてくれという。ここのレートは良かったから満を持していたのに、もったいない。仕方がないからその向こうの両替屋に行くと、案の定レートは最低だ。

 バーツラフ広場の下の地下鉄で一つ行き、博物館の駅で乗り換えてまた一つ地下鉄に乗るとプラハ中央駅に到着する。昨日24時間切符を買って乗った時間からまだ24時間経っていないのだからあの切符で正々堂々と乗ることができる。
 問題は地下に降りるための階段以外の手立てなんである。なにしろチェコの地下鉄の駅で下りのエスカレーターやエレベーターを探すのはなかなか骨が折れるのだ。昨日の偵察で発見したのはすぐそばのデパートのエスカレーターを使えば、そのまま地下に降りられるということだった。

 実は昨日、地下鉄駅のインフォメーションでエレベータの有無を聞いたらそのおばさんは「ない!」といった。そんなはずはないと自分で偵察して発見したのがこのエスカレーターだった。地下鉄内の路線図には、障害者や高齢者のためのリフトがある駅が表示してあるのだけれど、この駅もそれに含まれている。インフォメーションのおばさんが知らないだけだ。

 このおばさんに指摘されて恥ずかしい思いをしたことが一つある。実は私たちは一昨日も24時間切符を買ったのだけれど、自販機に「シニア」と書いてあるのを発見して、大人110コルナのところが何と半額の55コルナになることに感動したものだった。しかし、このおばさんによるとそれが適用されるのは、PITカードなる現地の人が持っている写真入りのカードがあるときに限る、というのだった。え〜!?パスポートを提示したんじゃだめなのか、といったらそんなのはだめで、君らは110コルナを買えという。やや、私たちは昨日一人分、儲けてしまったのだ。さほどに、この街ではどんな交通機関に乗っても、誰も検札なんぞしないのだ。多分、いつか急にそういうものに遭遇するのかも知れないのだけれど。この部分がブダペシュトの地下鉄と大違いである。

 さて、無事に中央駅に来てみると、私たちがブダペシュトまでの7時間半を費やす列車はベルリンから遠路はるばる時間通りに走っているらしいけれど、どのホームに到着するのか、案内板にまだ出ていない。あんまり出ないからインフォメーションに行って聞くとお嬢さんが「30 minutes before にこっ!」とする。なんの「30 minutes before」なのか、見当がつかない。「Before arrival time?」と聞くと、また「30 minutes before にこっ!」と仰る。なるほどちょっと経つと3番線に到着すると表示される。どっとたくさんの人数が動き出した。

 指定の車両に乗ってみると、この列車はコンパートメントになっている。6人座りのコンパートメントにわれわれ二人であるが、問題は荷物。この車両にはブダペシュトから乗ったときのような荷物スペースがない。どうやらコンパートメントの上の棚にのせよということのようだ。しかし、私たちにはとてもこの荷物をそこまで持ち上げる力がない。他の人が来ないことを良いことに6人分を占拠。
 あと半時間くらいでブルノというところでなぜか列車が止まる。周りはトウモロコシ畑。

 ブルノに来ると、若い女性がわれわれのコンパートメントを開けるも、鞄を見て他に行く。次に同じ年齢くらいと覚しき女性が入ってきた。次の駅まで行くという。荷物をできるだけ詰めて椅子を空ける。

 美しい夕焼けを見ながら午後6時半にBudapest Kelti駅に到着する。