ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

吉祥寺

 私は中央線沿線にとんと縁がなくて、1999-2000にかけての一年間だけ武蔵境に通っていたことがあるだけで、それ以外には殆ど足を踏み入れない。この電車は朝は上りが勤め人で昔からめいっぱいで、ラッシュアワーといったら中央線が写ると決まっていた。ところが下りはというと、昔はどうだか知らないけれど、かなりの割合が学生、生徒、児童って呼ばれ方をする連中の通学が多い。その点は小田急には勝てないだろうけれど、そんなわけだから、当時吉祥寺で若い連中と居酒屋で宴会をしたら他の学校の連中からトイレで「先生なんですか?」と聞かれたくらいだ。
 その吉祥寺に小さな映画館があって、興味深い映画が掛かっているというので、サンドイッチを手にしていってみたら、今日は午後5時からの一回だけですってんで、どうしようと。まず西友に入ってみると、これはもうウォルマートだから、荒んだ感じがする店になっている。無印良品だって驚くほど店員が見あたらなくて、シャツの類なんぞは誰かが触ってそのままという感じの状態のまんまで、銀座の松坂屋の地下の無印良品に較べて、寂れた感じがする。伊勢丹の後のコピス吉祥寺のウッドデッキでU900(ウクレレってことらしい)という「脱力系ウクレレアンサンブル」といわれているグループのヴェンチャーズものの演奏をおかしいなぁと思って1-2曲ニタニタしながら聞いていたら、あまりの脱力アニメ声の女の子の声が辛くて、そこからハモニカ横丁をぐるぐるした。
 そのうちにどうしても腹が減って、「みんみん」の前を通りかかったので我慢ならず、つい暖簾をくぐる。炒飯+餃子がたっぷりした量で、若い頃だったら実に嬉しかったのかも知れないけれど、あの頃だったらこの値段が出せなかっただろうなぁ。向かいで相席にして貰ったお婆さんは中華そばも半分くらい残していたし、もちもち皮でたっぷりした餃子も二つ残したものの、それをおみやにして貰い、それだけじゃ悪いと思ったらしくて生の餃子を一人前持って帰ったくらいだ。それでも、ここの前を通ったら食べたくなるだろう。「お兄さん、私は食べられないけれど美味しく食べたの。残しちゃってごめんなさいね。」といったくらい。
 まっすぐ帰ってくるのはどうもつまらないなぁと思っているところで、JRで帰ってくるのと、井の頭線に乗って渋谷から地下鉄を使って帰ってくるのと、どっちが安いのかと思ったら井の頭線だった。随分綺麗な車両の急行に乗ってしまった。もっとゆっくり各駅停車で来れば良かったなぁと思っていたのだけれど、永福町、明大前からどっと若い人たちが乗ってきて、あぁ、これじゃこのままで良かった、と思ったね。
 渋谷に到着して降りていくと、わんわんとした人の流れで、こうなるとこの都会では、人に譲るなんてことをしていたら歩けなくなるってことを再認識する。どんな、(繰り返すが、どんな)若い格好良い身なりの女性でもわっさわっさと「周りなんて気にしていたら歩いてなんていられないわ」という様子で闊歩している。荷物でひっぱたかれたり、踵を踏まれたりするけれど、誰ひとりそれに気がつくものがいないというか、知らない振りというか、どうも都会の孤独に気がついちゃったりするんである。これで家に帰れば連れあいがいて猫が顔を出したりするから「孤独」じゃないんだけれど、これが地方から出てきてひとりで暮らしているのであったら、ちょっと気が弱くなりそうなくらいだ。
 ネットで、きちんと上映時間を確かめなくてはならんなぁ。
 気がついたらこの日が上映の最終日だった!・・・残念。