NHKの夕方のラジオには浅川博忠という爺さんが出てきて、民主党の小沢一郎は若手議員を恫喝して消費税率引き上げ法案に反対させているんだとしたり顔で解説する。おまえは一体どこでそれを見てきたというのか。
今の日本は消費税を上げなかったら税収が増えなくてこれだけの赤字国債を抱えている国が成り立っていかないのは決まっているのだと断定する。NHKのラジオ番組は「こんな政局にしてしまったのは党内に弱腰の野田佳彦とどうしても党を割りたくない輿石が小沢に負けてこんなことになってしまったのだ」というのだけれど、番組中にこの消費税率引き上げ以外にこんな方法もあんな方法もあるといっても、それがこのような要因があって実現しないから消費税なんだという政策論を語ろうとしていない。
党内で反対が出てきた時に、その反対を言語道断だとして切って捨てる位じゃなくては与党として価値がないという言い方をする。自民党だって同じような局面があったけれど、そこには大人の党としての矜持があったけれど、民主党は子供の喧嘩だという。
私は本来的な民主政治というのはこうしたものであって、同じ党の中でも反対意見を様々な局面ではあるのが当たり前で、それを党利党略でうやむやにしてそれを「大人の解決だ」とする方がよっぽど間違っている。
民主党はそれまで自民党・公明党の連立政権が全く手を付けずに傲慢なやり方で既得権益を守るために続けてきたやり方に、反対の方針を掲げて選挙を戦い、ダムをやめ、特別会計を見直し、天下りを払拭して、歳出を見直すんだといってきた。それを何も実現してこない上に、それまでやらないといって選挙に勝って政権を手に入れた消費税率引き上げを、こんなところで取り出して自・公と繋がってしまうというやり方のどこが「大人のやり方」なのだろうか。NHKは確かに国会の承認を貰って運営する放送団体だから、時の政権におもねらないとやっていけないのだろうなぁという推察はできるが、これだけあからさまに政権におもねるとは正に大本営発表で国民を騙し続けた轍をそのまま踏み続ける。
番組中に「街の声を聞いてきました」といって、取り上げてくるのは「しょうがないんじゃないの、消費税上げるしかないでしょ!」だったり「党の団結を乱すのはいかんよねぇ」だったりする。みんな物わかりの良い大人になろうとしているのか、そうした方が賢そうに見えるとでも思っているのか。そんなことしていると知らないうちにとんでもないことになっているぞ。なに、自分たちはもうあとなん年かわからない人生の終わりに来ているからそんなのどうでも良いのか?
原発再稼働反対抗議行動も彼らの目に入ってこないのだ。
私は断固今の民主党政権を許すことはできない。彼らがやってみたら自分たちが思うようにはとてもいかない、霞ヶ関を説得することはとてもできない、彼ら霞ヶ関が目指す方向に行くしか他に方法はないんだ、と思うのだったら、そういう方向性で選挙をやり直さなくてはならない。それが選挙民と政権担当与党との正しい関係だ。それをやらずぶったくりにして、(あぁ、霞ヶ関のいうとおりにしないと政治生命はないな)と思ったからといってすべての約束を反故にして真っ逆さまにハンドルを切り直すなんざ、男の風上にも置けない。彼らに反対する人たちを目の敵にする論理がわからない。