ほぼ足りてまだ欲 その先

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自慢話

 昨日たまたま知り合いのスナックに寄ったら、私のあとからおじさんが入ってきた。オウナーが私の連れかと思ったという位すぐあとから。近所のお店の親戚だという60歳くらいの割と大柄な男だった。ひとりで全く初めての店に良く入るものだなぁと思ったら、彼が言うにはどこへ行っても、何ら臆することなくどんな店でも入ってしまう。そうするとそこで新しい人と知り合うことができるというのだ。それは日本だけじゃなくて、世界各国へ行ってもそうしてきたという。ニューヨークだろうと、バンコクだろうと。
 ま、確かにそうだろう。そりゃ新しい街で新しい人と出会う良いきっかけにはなるだろう。しかし、それには危険が伴う。というか、こっちだって考えてみたら怖い話で、どんな奴が店に入ってくるのかわからないわけで、この種のお店ってのはやっている方も安穏とはしていられないんだなぁと改めて思う。
 で、この人がやれオリンピックの候補選手になったことがあるとか、16歳にして早くも店の経営に着手したことがあるとか、いい始めるのである。全く面識のない、今初めて出逢った人に聴かれもしないのに、そんな話をする。で、こういう時の常として必ずだれか非常によく知られた人の話を出す。そうすると話は具体性を増す。酔っぱらっているからうんうんと言って、それで?と話を繋いでいくと、次から次に話が広がり、挙げ句には病気自慢にまでいってしまい、手術の傷跡を見せる。
 「ほぉ、ほぉ!」とオウナーは話を仕向ける。うまいもんだ。こういう商売の人って、きっとこの手の話はいろいろ聞いてきたんだろうなぁとむしろそっちに私の興味は行く。
 そんな話を聞いているときっとうまい話に乗ってしまう人ってのは、こういう具合になってのっていっちゃうんだろうなぁと思ったりするのだった。