ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

2010年2月19日

 もうすでに3年が過ぎております。(あれ?今日はです・ます調なの?)この日、私たちは永田町の国立演芸場に「世話様々浮世死神(よわさまざまうきよのしにがみ)」三場という「鹿芝居(しかしばい)」を見に行ったんでございますよ。噺家が芝居をするから鹿芝居というのでございます。この演目は文字から推察できますが、要するに落語の「死神」なんです。死神に金原亭馬生がなります。
 このとき私たちの席はどうしてだったのか、一番前です。芝居の途中で菊春が滑って見せたら履いていた草履がすっ飛んで私の処に飛んできました。拾って高座において上げたら、足を突き出して「はかせてぇん!」と云うので衆人環視の中で履かせて上げました。私、そういう人目に付くことをするのが大好きなんです。反対に家人はそういうことが大っきらい。
 で、帰りにだらだらと三宅坂を下ってくるのがいつものパターンですが、この日は珍しく桜田門をくぐりまして、二重橋前に行き、たくさんの中国人団体が記念写真を撮っているのを見て驚きました。なんせ当時は中国からの観光客が増えている頃ですよ。
 桔梗門あたりまでやってくると、殆ど観光客はいないのに、耳にイヤフォンを突っ込んだ、スーツ姿の男がぽつん、ぽつんと点在しているんです。これ、イヤでも気がつきます。なんかあるのかなと思って思い切って「何かあるんですか?」とお伺いしました。「別に何もありません」なんて云うのかと思ったら「皇后陛下がお戻りになります」といったんですよ。
 いつなのか分からないけれど、2-3時間先な訳はないですからそれなら待ってようという結論に。気がつくと私たちの他におばさんの二人連れと何となくボォ〜ッとした感じのおじさんが一人。
 そこへやってきました。古いセンチュリーです。しかし、車が入ってきながら、もう既に窓が開いているんです。そこには美智子さんがお一人で、こちらをご覧になって手を振っておいでですよ。イヤ、別に私たちを見ているわけはないですから、いつでも、こうして人目に付きそうな時は準備しているんですかねぇ。これで誰もいなかったらどうするんだろう。あぁ良かった、と思われるんでしょうか、それとも、えっ!・・・寂しい・・と思われるんでしょうかねぇ。
 さもなきゃSPと思しき独りが既に車の助手席に乗っている男に「え〜、右側に4-5人の国民が立って待っておりますので、宜しく」とか何とか連絡をして、さらばってんで助手席からスイッチを押して、窓ガラスをおろし「妃殿下、ご準備を」とか云うんですかねぇ。そうすると美智子さんが「あ、はい、了解」なんていっちゃったりしてね。
 そう思うとお互いの為にあそこで待っていて良かったのかも知れないですね。
 なんで今頃こんな事を書くのかというと、ある方が「実は私は皇后陛下にお会いしたことがあります」と書いているのがそっくりな状況の話だったのです。もちろん冗談で「お逢いした」と書いているんでしょうけれど。本気で書いていたら驚きですが。