ほぼ足りてまだ欲 その先

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君が勝手に

 外国の孫会社に行っている時に、岳父がつれあいの看病の甲斐なく大阪で死んだ。もうあれから10数年経つ。自分の事務所につれあいから電話がかかってきて、ダメだったと知った。その直後に、上司は自分の息子の腕の手術跡の写真をみんなに見せていた。凄い手術跡だった。タイミングとしては私にはあんまり嬉しくない。隣のデスクにいたアカウンタントが、私のところにかかってきた電話を説明していた。だから、上司には直ぐに知れた。
 私は直ちに帰国する準備を始めて日系航空会社の知人に連絡して翌日のフライトを確保して貰った。
 この孫会社には小さいながら服務規程のようなものが辛うじて作られていた。大したものだとよく読むと、こうした場合には「考慮することもある」と書いてあるだけだった。なんだ、じゃ、原則としては「考慮しない」という意味なんだなと了解した。そういえばその2年前に若い人がお爺さんが亡くなったといって会社の費用で帰国したことがあったことを思いだした。あぁ、あの時は「考慮」して貰ったってことなのだ。
 で、翌日一旦事務所に顔を出して空港に向かおうとしたら、その上司が言った。「君は自分で勝手に手配したんだから考慮はしない」と。
 「わかりました」といって出かけたけれど、心の中ではこいつとは二度と会いたくないものだと確信していた。