本

太平洋戦争を考えるヒント

　多作な保阪正康は、やっぱりこの1−2ヶ月の間に新刊本が出ている。この本のレビューが一件だけ上がっていて、保阪の瀬島隆三を見る目が厳しすぎるのではないかと書いているが、例のヤルタ密約の本を読んだら、その見方は甘いと思われるのではないかという気がする。なんせ大企業の会長まで務めた人間だというので多くの人はそれだけで肯定したがるけれど、それは必ずしも正当なスケールではないことは嫌という程証明することができる。
　なんたって昔の映画会社の頭の悪い経営者の中には「女優を妾にしたんじゃない、妾を女優にしたんだ」といった馬鹿だっていたくらいじゃないか。自分の悪口を書いた本をすべて根こそぎ買ってこいといった化粧品会社のワンマン経営者なんてのもいたし、表の顔だけでは判断できないのだから。

消えたヤルタ密約緊急電―情報士官・小野寺信の孤独な戦い (新潮選書)