ほぼ足りてまだ欲 その先

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贅沢

 日本固有の文化習慣を踏襲しようとするのは大変に贅沢なことで、もはやわれわれのような貧乏人にはなかなか実行することができないことに気がついてしまった。たとえば着物を着て生活をしようとすると、とてもじゃないができない。特に夏の着物なんて、浴衣ならまだしも、ちゃんとした着物、たとえば呂だ紗だ、麻だ、縮みだといったらすっかり汗がしみてしまったりしたらすぐに痛んでしまう。これを放りっぱなしにしていたらすぐにだめになってしまう。丸洗いしたり、終いには洗い張りに出さなくちゃならない。昔だったら町内に一軒や二軒のそんな店があったものだけれど、今じゃ探すのは大変だ。襦袢だ、足袋だ、帯だ、下駄だ、雪駄だといっていたら、あっという間に札束が飛ぶだろう。冬物を考えたらまたあれもこれもと必要だ。とてもじゃないが今から着物の生活なんて思いもつかない。
 不思議なことに日本風に暮らすってことが大変なことなんだ。私の周りでも着物を普通に着こなしている男性といったらお金持ちばかりだものなぁ。顧みるに、私、夏物の着物は全くもっていない。袷の着物だって、死んだおふくろが私の知らない間に作ってくれていたものがひとつあるだけだ。そういえば昔あった大島紬の着物はどこへ行ったんだろう。