ほぼ足りてまだ欲 その先

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皇太子 大公

 いや、何度もこの本を取り上げて恐縮なんですが、第一次世界大戦が勃発したきっかけとしてオーストリア・ハンガリー帝国の皇太子がサラエボで暗殺されたから、というのが世界史で習った歴史でしたよねぇ。
 所がこの本は、その辺をとても詳細に語っていて、フランツ・ヨーゼフ皇帝の皇位継承権一位だったとはいえ、殺されたフェルディナンド大公はフランツ・ヨーゼフの弟だったカール・ルートヴィヒ大公とシチリア王フェルディナンド2世の長女マリア・アンヌンツィアータの長男だというわけですよ。つまり甥っ子。しかし、彼はチェコ人の女官のような身分の低い女性と貴賤結婚したものだから、結婚後も相当に冷遇。旦那は皇位継承者として遇されるけれども、妻のゾフィーはまったくその他としてしか遇されることがなかった。それがようやく、二人が同列に並んで参列できる場がこの時だった。
 それは夏季大演習の場でもう年老いたフランツ・ヨーゼフの名代として演習の監察として出かけたサラエボだった。そしてまさにその閲兵式の日こそ二人の結婚記念日だった、というんでありますよ。
 これでもまだ上巻を読み終わっているわけではなくて、これからどこまでこの辺が語られるのかと思うと楽しみ。これ、ハプスブルグ家の煌びやかな「あぁら、良いわねぇ」物語なんかじゃないわけだよ。
 逆にそこの所を捉えて、つまらんといっている人もおられるんですなぁ。