ほぼ足りてまだ欲 その先

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訃報

 文化庁長官もやった作家、三浦朱門が91歳で他界した。妻は同じく作家の曾野綾子だ。曾野はかつて「「二〇五〇年」という小説を書いた。高齢者にばっかり金をかけていると国が破綻するとでもいわんばかりの小説だった。彼女はその種の発言を平気でしていた。
 昨年2月に、週刊ポストに「高齢者は適当なときに死ぬ義務を忘れてしまっていませんか」というコラムを書いた。「『いくらでも生きたい』は傲慢」「権利を『求め倒し』、医療を『使い倒し』、他人を『頼り倒す』ことは肯定されない」とまで書いた。
 彼女の発言が物議を醸したのはこれだけじゃない。次から次に自分の狭い範囲の知識で断言するものだから騒ぎを起こしてきた。「もう20〜30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった」と書いてアパルトヘイトを肯定する時代遅れの輩とみられたりした。
 しかし、三浦朱門が介護を必要とする状況になって、認知が表れてからは、自分で夫を介護する日々を過ごし、週刊現代にその日々を綴っていたそうだ。
 考えを改める日がようやくやってきていたわけで、彼女に同情申し上げなくてはならないけれど、彼女がそれをどのように表してきたのかはとんと知らない。
 それにしても自分の身に降りかかってくるはずもないと彼女自身が思い込んでいたのだとしたら、よっぽど想像力のない、小説作家だったというしかない。
 ま、ある意味では非常に歩調のそろった夫婦だったなぁ。

 そういえば、もうほとんど忘れられていただろう、林義郎という自民党の代議士だった男も89歳で他界したそうだ。元通産官僚。TPP委員会の委員長をやっていた林芳正の親父だ。