ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

立川昭二

 先週のラジオ深夜便立川昭二氏の話を聞いた。近所の図書館に行って、立川昭二著「足を知る生き方 神沢杜口「翁草」に学ぶ」(講談社)2003.12を見つける。直ぐ近くに「日本随筆大成」吉川弘文館がずらっと並んでおり、その第三期第19巻からがその「翁草」である。これは24巻までを「翁草」に費やしている。神沢杜口というおじさんは1710年生まれで1795年に86歳(数え年?)で死んでいる。大変な好奇心の持ち主で、ルポライターというべきか、79歳の時に自宅も燃えてしまう大火にあい、それまで書きつづったものまで消失し、それでも天明の大火を取材して歩いているのである。その後失ったものをまた書き直しているのだというのであるから、驚きは大きい。どこやらで、杜口をなんの脈略もなくとにかくかき集める、と表現している人がいた。確かに立川昭二の本を読んでも、様々な面白い話を残している。その脈略のなさが私をしてホッとさせるのではあるけれど。読めば読むほど「老人力」に驚きを次々に発見する本でもある。
 立川昭二氏の著作の方はもう既に何人もの人に借り出されているんだなぁとよく分かる状況だけれども、日本随筆大成の方はほとんど頁を開けられた形跡が見られないのだけれども、開けてみてその理由が分かった。もう既に私なんかだと、読み下すことすら面倒なのである。まぁ、自分の教養のなさを露呈したにすぎないけれど。
 今から文学部なんかに勉強に行くと読めるようになったりするんだろうか。

逆だ

 ベネズエラ外務大臣が出国検査を厳しくやられたそうで、外交特権を無視されたと怒り、その便への搭乗を拒否したのだそうだ。多分相当に不愉快だったんだろうけれど、私は最初、米国側がその外務大臣の搭乗希望を拒否したのかと思っていた。逆だった。ベネズエラの親方がさんざん米国をこき下ろしたから嫌がらせをやられたんだろうなぁ。石油が出ると強いなぁ。うち、弱くて当たり前か・・・・。

城達也

 昨日の夜から今朝にかけてテレビのスピーカーから何度も何度も「音楽の定期便、ジェットストリ〜ム! 夜間飛行のお供を致しますパイロットは、私、城達也です」というナレーションが、”Mr. Lonely"のストリングスの調べに載せてあの懐かしいなんともビロードのような(言い古された台詞回しだけれども、実に良い表現だったなぁ〜、これは)声が流れてくる。ふらふらっと通販で買ってしまいそうな気分になってくる。前からCD屋さんにいくと何枚かそんなシリーズが出ているのは知っていたが、一体全体中はどうなっているのかは知らない。城達也がなにかを喋って居るんだろうか。誰か、買わないかな・・?あ、得意の図書館へ行ってこよう。→ OPACで調べたら全て貸し出し中なり。

パソコン速記

 最近の講演会やシンポジウムでは手話の人が演者の横に立って通訳しているのを日常的にみるが、近頃ではそれに加えて口述筆記というのか、スクリーン上に話していることを文字で映すというサービスを時々みるようになってきた。これなら手話の読めない人でも話について行くことができる。今朝のテレビでステノ・キャプショナーという仕事を紹介していた。音声で語りを聴きながら文字化するというものである。ところが画面の中でこの方達が打ち込んでいるキーボードが普通のパソコンのキーボードとは全く違っていて、キーが少ない。それだけではなくて、キーを幾つも一度に抑えているのである。スタイルは全く違うけれど昔米国の映画の中で法廷シーンが出てくると角の尖った眼鏡かなんかをかけた紺のサージのスーツを着た女性が「ぎっぎっぎっ」という紙が送られる音をさせながらタイプを打っていたのを想い出す。それで調べてみたら超高速入力用キーボード「ステノワード」というのがこのキーボードらしい。このキーボードでの入力では早い人ではなんと1分間に400文字も入力することができるというのである。普通のタイプライターだったら100文字行ったら早いほうだったんだから驚くほどのスピードである。
 あの米国映画の法廷に出てきたのは法廷の記録をとるという目的から始まっているのだけれども、その一方聴覚にしょうがいのある人達へのサービスとして米国では1962年からテレビの字幕研究が始まったのだという。1996年のアトランティック・オリンピックからリアルタイム字幕放送が始まったということが石川准先生 関根千佳先生の論文でわかる。
 この分野をネット上にあっちに行ったりこっちに来たりして、また例のようにうろうろしているとそういえば聞いたことがあったなぁと想い出したのが、日本の法廷では録音を導入することによって法廷速記者を廃止しようとしてきたことである。今現在がどうなっているのか知らないけれど、少なくとも2年前頃にはいろいろなところで、これが話題になっていたはずだ。裁判所側の理由は表面上就労希望者が足りない、そして記録機械の製造が保証されないという二つの理由だったらしい。しかし、実際には募集人数の何倍もの応募者があったり、機械も4-50万円するものの米国のハードを日本語化したものが存在しているのだそうである。
 「裁判所速記官制度を守る会」のブログによると裁判所速記官の要請が打ち切られて既に9年。しかし、2009年からの裁判員制度(本当に実施できるのかねぇ・・?)になった時に迅速、正確な速記録の実現を考えると今6割がテープ起こしに頼っている現状では間に合わないではないか、と主張しておられる。裁判所側はどうしようと思って居るんだろうか。電子速記フォーラムというものも存在している。