ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

パソコン速記

 最近の講演会やシンポジウムでは手話の人が演者の横に立って通訳しているのを日常的にみるが、近頃ではそれに加えて口述筆記というのか、スクリーン上に話していることを文字で映すというサービスを時々みるようになってきた。これなら手話の読めない人でも話について行くことができる。今朝のテレビでステノ・キャプショナーという仕事を紹介していた。音声で語りを聴きながら文字化するというものである。ところが画面の中でこの方達が打ち込んでいるキーボードが普通のパソコンのキーボードとは全く違っていて、キーが少ない。それだけではなくて、キーを幾つも一度に抑えているのである。スタイルは全く違うけれど昔米国の映画の中で法廷シーンが出てくると角の尖った眼鏡かなんかをかけた紺のサージのスーツを着た女性が「ぎっぎっぎっ」という紙が送られる音をさせながらタイプを打っていたのを想い出す。それで調べてみたら超高速入力用キーボード「ステノワード」というのがこのキーボードらしい。このキーボードでの入力では早い人ではなんと1分間に400文字も入力することができるというのである。普通のタイプライターだったら100文字行ったら早いほうだったんだから驚くほどのスピードである。
 あの米国映画の法廷に出てきたのは法廷の記録をとるという目的から始まっているのだけれども、その一方聴覚にしょうがいのある人達へのサービスとして米国では1962年からテレビの字幕研究が始まったのだという。1996年のアトランティック・オリンピックからリアルタイム字幕放送が始まったということが石川准先生 関根千佳先生の論文でわかる。
 この分野をネット上にあっちに行ったりこっちに来たりして、また例のようにうろうろしているとそういえば聞いたことがあったなぁと想い出したのが、日本の法廷では録音を導入することによって法廷速記者を廃止しようとしてきたことである。今現在がどうなっているのか知らないけれど、少なくとも2年前頃にはいろいろなところで、これが話題になっていたはずだ。裁判所側の理由は表面上就労希望者が足りない、そして記録機械の製造が保証されないという二つの理由だったらしい。しかし、実際には募集人数の何倍もの応募者があったり、機械も4-50万円するものの米国のハードを日本語化したものが存在しているのだそうである。
 「裁判所速記官制度を守る会」のブログによると裁判所速記官の要請が打ち切られて既に9年。しかし、2009年からの裁判員制度(本当に実施できるのかねぇ・・?)になった時に迅速、正確な速記録の実現を考えると今6割がテープ起こしに頼っている現状では間に合わないではないか、と主張しておられる。裁判所側はどうしようと思って居るんだろうか。電子速記フォーラムというものも存在している。