ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

今回のこと

 渡邉恒雄中曽根康弘森喜朗三宅久之といった面々が嬉しそうに今回の出来事を「憂国の士」づらをして「こんなことを思いながらわれわれが構想したにもかかわらず、わけのわからん、しかも政治の世界にいる若い奴らがその状況を理解できていない」といわんばかりに語るところを見ると、時代錯誤も甚だしいとあまりの論理に唖然とする。
 至近の選挙、つまり国民の民意を発露する唯一絶対の機会において国民は自民・公明与党に対して「お前らでは今はもうダメだ」と判断したのだ。自民党総裁自らがクビをかけているといってキャンペーンを展開してきた。その結果国民はそっちではなくあっちだという結論を出した。その結果この状況になったということを彼らが認識できない、いや認識したくないだろう。それも無理はない。これまでにこれほどの状況に直面したことはなかったといって良いだろう。頭の中には自自社さの時代がよぎったことだろう。
 国会が動かないという状況になってしまったことを打開せずしてどうするのか。このまま日本という国が停滞する実状をどうするのかという点を考えたら、この「大連立」という動きをなぜ理解できないのか、そんな「未熟」な政党を国民が支持してどうするのか、としきりに連呼し、「次回の衆議院議員選挙では民社党は必ずや勝利することはできない」と強調する。なにしろ民社党党首自身が勝てないといっているじゃないかと(そういえば私も書いたことがある)。確かに今回の小沢一郎の行動、言動は誠にみっともないものだった。これは否定のしようがない。なんで彼を慰留したのかといえば蓋の重しだったからだろう。しかし、その重しも厳然たる重しではないだろう。たまたま準備ができていない状況だからの重しだろう。なぜあそこで小沢の重しを思いっきり外してしまわなかったのだろうか。返す返すも残念だ。

なんでこうなんだろう

 西岸良平原作の「三丁目の夕日」がやっぱり今回も評判だ。先週末の封切りの土日で動員観客数が45万人だとか、最終目標が1000万人だとかと聞く。東宝のお偉いさんのウハウハ状況が目に浮かぶようだ。さぞかしこれまで以上に鼻息を荒くしておいでのことだろう。これまででも相当に鼻息荒いけれど。
 となると、私はなかなか足が向かなくなる。ただ単にへそ曲がりで、天の邪鬼で、人が儲けている、受けているとわかったら、「何も俺までそんなことに与しなくても良いだろう」と背中を向けてしまう習性にあるからだ。これでこれまでにどれほど損をしてきたことだろうか。しかし、それがわかっていてもそうできないのだから、人より儲けるとか、人より褒められるとか、人より名誉をえるとかって状況にならなくてもそりゃそれでしょうがない。わかっていながら、そうできない奴だったのだからしょうがない。しかし、どうしてそうなってしまったのだろうか。いつからこうだったのだろうか。
 私は中学一年生を終えてから地方の私立中学から東京の公立中学に転校した。私立だったとはいえ、地方のことだからそんなに詰め込み教育ではなくて、のんびりとした地方の少年の生活を楽しんでいた。なにしろ学校の帰りに一駅分歩いて田圃の畔に行き、パンパンに膨れた(どうして私は中学・高校であんなに鞄を膨らまして通っていたのだろう)鞄や学帽、学生服を放り出し、靴を脱いで、ズボンをたくし上げ、フナを追いかけていたりしたんだから、これを楽しんでいたといわずになんといおうか。東京の公立中学は当時、都立高校が学区制で、進学者にとってはその予備校化していた学校とそうでない学校がはっきりしていた。それでも中学を卒業して就職するものは珍しいわけではなかった。私の中学の学区はいわゆる山の手から下町までとても広い範囲を抱えていたから生徒のバックグラウンドも種々様々だったということなんだろう。で、卒業する頃には私はどう見ても「山の手地区出身」で「勉強もできる方」の主流派ではなく、「なんでもありで進学者も就職者もいる」が「成績は上の下から下」という反主流派の中にいた。つい、先日もクラスの主流派だった渡○君、佐○君、大○君、長○部君、渋○君、馬○君なんかが彼らにしか通用しない言葉を駆使して私に辛く当たるという夢を見たばかりだ。なぜか知らないが彼らの名前と当時の顔は今でも詳細に思い出すことができる。
 主流派はそれでなくてもそれだけでその場を牛耳っていてその場の価値観を左右する力を持つ。主流派の論理が正論だということになる。反主流派はそのままではどんどんじり貧になる。正しいことをいっていても、「世の中はそんな論理で動いてはいない」というひと言で切り捨てられる。どんなに人であるがゆえに正しいことであってもだ。受けている、売れている人、物、事象に関しては誰もが拍手を送る。そうだったらなにも私までそれに加わって拍手するこたぁないじゃないか、というのが私の曲がった習性なんだろう。
 テレビでの宣伝やネット上に存在する「三丁目の夕日」の予告編なんかを見ると画面全体がセピアかかっていて、そこに登場する広い空が当時の様子をあからさまにする。「懐かしぃぃ〜」とその雰囲気に浸りきってしまう。ちょうどあの当時、私は東京ではなくて、地方のそれも海辺の町はずれに暮らしていた。だからあの頃の東京という時間と空間を共有はしていない。それでもおおよその見当はつく。
 私が暮らしていた地方の空は(もっとも東京だって大差なかったけれど)限りなく広く、冬の季節風は遮るものが何もなくて、容赦なく吹き抜けた。それでも畑のはずれの道具入れの朽ちた小屋の陰で風をよけながら日向ぼっこをするとこの上なく暖かかった。砂地の畑のはずれで相撲を取ったりすればすぐに暖かくなるし、お日様でぽかぽかになった砂は裸足に心地よいものだ。海辺の一角ではそんな季節には蜜柑の缶詰工場から運ばれた蜜柑の皮の日干しが行われていて、その甘酸っぱい匂いが辺り一面に「冬だねぇ〜」と告げていた。こうした蜜柑の皮は飼料になるのだとか聴いたことがある。私は昭和32年の秋から昭和36年の春までそうした実に恵まれた環境の中で育った。しかし、その3年半もそこでは私は主流派たり得なかったわけだ。
 ここから私は始まったのかもしれない。

CBS 48 Hours Mystery

 今週のTBSテレビの「CBSドキュメント」はいつもの「60 minutes」ではなくて同じCBSの番組「48 Hours Mystery」が昨年の10月に放映した「Murder On The Cape」だった。ケイプ・コッドとは随分懐かしい地名で、別に私は出かけたことがあるというわけでは勿論ないが、かつて1960年代に隆盛を極めたVAN Jac.の石津謙介がその機関誌といっても良い「Men's Club」の中でしきりにテーマにしたことのある地名である。だから多分私たちの年代の少なからざる男達はそれがどこにあって夏はどんなにか格好良いところだったかというのを垣間見ていたかもしれない。もちろん、ケネディー家が拠点を持っていたことでも知られていたし。
 しかし、冬のケイプ・コッドのことを想像したことすらない。雪の舞い散る寒い鄙びた漁村になってしまうのではないだろうか。そのケイプ・コッドのTruroという街にひとりで暮らす元ファッション雑誌の編集者だったシングル・マザーの女性(Christa Worthington)が殺されたという事件だ。容疑者が逮捕されるまでに3年かかっているが、被害者の体内に残っていたDNAとゴミ回収人のDNAが一致したというのが検察の決定的証拠であり、それを補完するのが容疑者の自供供述書だとして黒人で知能指数76のゴミ収集人が裁判に掛けられる。6日かかっても陪審員は評決に達することがなく、そこで陪審員は替えられ、それから2日で仮釈放なしの終身刑が宣告される。弁護人は再審を請求しているという話だ。様々な考えるポイントをぞろぞろと視聴者の前に拡げて番組は終わる。さて、これで話は終わりだろうか。
 CBSサイトで「Murder on the Cape」と検索するとこの事件に関連したビデオを見ることが出来る。
 来週の「CBSドキュメント」は同じく「CBS 48 Hours Mystery」からのもので「Blaming The Babysitter」という番組で13歳のベビー・シッターが子守をしていたその子どもを殺したという容疑を掛けられたという話である。

Valerie Plame Wilson

 CBSといえば、最近の「60 minutes」の中で、誤った情報解釈によって実行されたイラクへの侵攻に反対した元外交官の夫Joe Wilsonに対する報復としてCIAの秘密職員だったことを暴露されてしまった夫人、Valerie Plame WilsonにKatie Couricがインタビューしている。Valerie Plame Wilsonはごく最近「Fair Game: My Life As a Spy, My Betrayal by the White House」という興味深い著作を刊行した。ただし、このインタビュー中でも触れられているが、CIAによって削除されてしまった原稿部分は決して少なくなさそうであり、この部分は新著の中では黒塗り状態のままとなっている。Amazonでみると、この本は従って、Laura Rozenが書いたあとがきから読むべきだと書いてある。お恥ずかしながら、私はこの事件のことを知らなかった。「60 minutes」だけでなくて、彼女はこの本のキャンペーンということもあるだろうけれど、Bill Maherの番組、Larry King Live等、様々なインタビュー番組に出てきていて、そのインタビューはすでにYouTubeにもアップされている。

観光振興

 私は在日豪州大使館と在日英国大使館のそれぞれの観光局が発行しているメール・マガジンを購読している。どこのテレビでどんな情報を流すかまで掲載されている。そういえば日本政府では一体こうしたことは出先で誰かが担当しているのだろうか。そもそも観光業に関する所轄機関というのは誰なんだろうかと考えると多分昔の運輸省の管轄だから国土交通省だろうが局としては聴いたことがない。どうやら総合政策局が担当していて、その下に 観光政策課、観光経済課、国際観光課、観光地域振興課、観光資源課、観光事業課があるらしい。多分海外向けの窓口は国際観光課だろうか。どんなキャンペーンを張っているんだろうなぁ。