ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

NHKスペシャル「ワーキングプア3〜解決への道〜」

 昨日出かける前に見られないことに気がついたので、ビデオ撮りしておいた。朝から見る。
 韓国、英国、米国の例を取材。ノースカロライナ州のバイオ企業誘致政策と就業のための訓練プログラム、英国の職業訓練支援等を紹介する。日本はというと例に取り上げられたのは35歳のホームレスの青年。やっぱり彼もひとりとなって暮らし、三鷹市からの委託を得てホームレス仲間とともに半年間に80日間の稼働をする公共スペースの植栽管理を担当。ようやく食べられるようになり、二日に一度は銭湯に行くこともできるようになり、初めて人間的な感情を取り戻せたといって涙を出す。しかし、それでも彼は今でもホームレスなのだ。母子家庭の母親を支援する釧路のプログラムは生保を一気になくして自立を迫るのではなくて、ボランティアから初めてステップを段階的に踏んでそれに従って生保を削減していくという方式。しかし、問題は就職そのもの。このプログラムを支援する側の職員も正職員でなく、彼女もまた夜は塾講師をして生活費を得る。キャスターは最後に「この取材を通して憤りさえ感じた」とコメントする。
 「格差なんてあるんですか」「いつの時代にも格差はあったわけで特に今になってあるわけではない」といった発言を繰り返してきた小泉・竹中の価値観に飛び乗ってどこまでも一気に駆け抜けようとする、人を機械か、ロボットか、はたまたまさに「搾取の対象として認識することしかできない」御手洗経団連に対してストップをかけるのは今であり、そして私達国民の責任であることは間違いがない。
 この番組の当面の再放送予定はNHK総合で2007年12月18日(火)深夜【水曜午前】0時10分〜1時29分。今夜のNHKスペシャルは「年金記録は取りもどせるか〜社会保険事務所からの報告〜」で同じくNHK総合22:00-22:59である。

データー

 かつての一般的なデーターインプットの現場はまだパソコンなんてものが存在しなかったから入力用紙にデーターを記号化したものをそれぞれが頭の中で記号に転換して手で記入し、それをキーパンチャーが目にもとまらぬ早業でぱしゃぱしゃカードに穴をうがつ作業をこなしていた。それを機械に読み込ませると機械はどんどんデーターを呑み込んでいくのであった。それまでありえなかった仕組みの作業だから、そんじょそこらにそんな作業をこなせる人間がいたわけではないから、そうした作業能力を持っている人は貴重だった。私はなんだか仕組みの分かっていないままに自分の毎月の営業データーを記号化インデックスと首っ引きで鉛筆で書き込む。同じ仕事をしていた室員の4人がそれぞれのデーターを放り込む。するとデーター管理室のやり手バリバリ女性社員がやがてやってきて、「あんたたちのインプットデーターの書き方の誤り率」なんてのを突きつける。アルファベットのOには「/」をいれろ、「I」には上・下に「横バー」を入れろといった類の非常に初期的な誤りである。
 しまいにはそのセクションでは私達4人のうちいい加減さが直らない私を含めた若手三人のことを「三バカトリオ」と呼び始めていたらしいことはすぐに所内に広まった。その女性チェック係員がいることを良いことにわれわれはいっかな反省をしないのであった。当時大きな問題として取り上げられていたのはそのキーパンチャーの人々の腱鞘炎に代表される職業病といわれた障害だった。だから、そうした人々の健康管理は重要なものとなり、連続作業に制限をかけることにしてそれの予防を考えることは不可欠となった。労働組合がそこに属する組合員の健康管理を主張するのは当然の役割だった。ところが状況はどんどん変わってきた。そうしたデーターインプットの方法が劇的に変わった。私の職場も営業情報のインプットには各職場に配置された専用端末からなかなか飲み込めない分厚いインプットマニュアルを読みながらデーター資料も開きながら、そして(ここが結構重要なんだけれど)飲み込みの早い若い社員たちから(「まだおわんないですかぁ〜!」などと)バカにされながら入れる方式となってしまった。
 この時にいたって、この入力書き込みチェック係りからキーパンチャーから実際の機械室のオペレーションをする人たちからが一斉に不要になった。彼らはその後どうなっていったんだろうか。この頃から私の職場にはワープロ専用機が入ってきた。企画書からプレゼン資料から会議資料からそれこそかつてはタイプに頼んでいた書類の一切合切を全部下書きからアウトプットまでをその機械で創り出した。そこから先は一気呵成にどんどん機械化は進んで、あっと気がついた時には各自の机にラップトップが並び、人事異動からほとんどの配布書類が社内LANで繋がれたハードで読めるようになった。こうなると情報を取れていない、そこにアップされている情報を取り出せない、取り損なったって言い訳は何もできなくなった。
 社会保険庁にはデーター入力チェック係りも、その後の労組要望再検討も何もなされていなかったということなのか。「人間は必ず間違いを犯す」という解釈を当時の米国企業の品質管理担当から聞いた時に、私はこういうことを根底に考えているから米国製のハードにはどうしようもない製品が出荷されちゃうんだと呆れながら聞いたものだった。つまりわが国の高度品質管理製造業を実に誇りに思ったものだった。出荷されるものには些かの間違いも些かの欠陥もありえないのだと。あのデーターインプットを実施していた社会保険庁でもそんな幻影に犯されていたのだろうか。
 様々なマスコミが「当社が入手した情報によれば」といって年金情報の呆れかえるばかりのいい加減さが報道されるけれども、社会保険庁自身が、そして自治労自身が「こんな具合になってしまったのはこんな経緯があったからなんです、申し訳ないのですが、当時のこのいい加減な仕事を遂行してしまったのは、総務系担当:○野×郎、データー入力担当:□谷△子・・・でした」と明らかにするべきなんじゃないだろうか。最初の時点で間違ってしまったデーターはどんなことをしてももう二度と正しいデーターに結びつけることは不可能である。
 私達「三バカトリオ」はあのバリバリチェック係員に大いに感謝をしなければならないし、その愛称(蔑称か?)を甘んじて受けなくてはならないのだ。

甲子園ボウル

 昨日は長居陸上競技場関学対日大の組み合わせで甲子園ボウルがあったそうだ。そういえば酔眼朦朧として蒲団に潜り込んでつけたラジオで確か日本テレビの音声を聞くとそれが録画中継だったらしく、しかも第4クォーターのおしまいのところだった。解説は声ですぐに誰かが分かる後藤完夫だ。38対34で日大リードでそこまで来ていた。関学ゴールラインまで残りインチで第4ダウン。日大は残り6秒で残っていた2度のタイムアウトを立て続けに取る。そして関学はランニング・バックがダイブして大逆転。結果としてはフィールド・ゴール差で関学が勝つ。関学対日大とはなんと懐かしい組み合わせだ。かつての常勝日大フェニックスは憎たらしいほど強かったけれどしばらくここまでこなかった。そういえばショットガンが大好きなチームだったけれど、今になってみるとNFLだって今やごく普通にショットガンをやるようになったなぁ。
 そういえば、日本アメリカンフットボール協会山梨県アメリカンフットボール協会、(財)キープ協会山梨県八ヶ岳山麓清里フットボール専用競技場を建設する計画を立てていてその為の建設費を寄付をもとに集めようとしているのだそうだ。なんで清里なんだよ、という話になるのだけれど、それは日本にアメリカンフットボールを紹介したポール・ラッシュが手塩にかけて支援したのが清里だからなのだ。しかし、冬あそこで試合をするのはデンバーで試合するより寒いかもなぁ。

アマゾン

 アマゾンから荷物が来た。二冊。

恩讐の果ての故郷いとしき―もうひとつの戦争花嫁

恩讐の果ての故郷いとしき―もうひとつの戦争花嫁

 先日、「戦争花嫁」について書いた時にアマゾンでこのキーワードで検索した時に、これまで全く眼にしたことのなかったこの本を見付けた。タイトルもちょっと変わっているなぁと思ったけれど、出版社がどこだったか全然気にしなかった。しかし、ページ数としては121ページと薄いなぁとは思っていた。入手してすぐに開けてみるとずいぶんフォントの級数も大きく、行間も広い。多分400字詰めでいったらせいぜい150枚ぐらいのものだろう。読み始めて構成や、年次チェックが編集という観点で行われているとはとても思えないことに気がつく。よく見ると自費出版でしられた出版社である。検索してみると様々に書かれていることが分かる。多分この本も米国におられる著者の自費出版だろう。誰かきちんとした編集者の方がお手伝いされたら読者にとっても充分参考になる文献になり得るのに、とてももったいないという気がした。歳をとって二人で引っ越したハワイで夫が身体をこわし、ようやく回復してきたけれどご自分の身体がどうしてもすぐれないところで、医者に相談している時に「精神衛生のためにも、これまでの来し方を文章に書いてみようか」といったらその主治医が「それはとても良い」といってくれたので書き始めた、のがどうやらこの本のもとになっているようだ。
The Foxfire 40th Anniversary Book: Faith, Family, and the Land (Foxfire Series)

The Foxfire 40th Anniversary Book: Faith, Family, and the Land (Foxfire Series)

 以前に書いたように(→こちら)ジョージア州アパラチア山脈地域の高校生が先生の指導を受けて地域のお年寄りから聞き出したさまざまな地域の話を1966年に「Foxfire」という本にして出版を始めてから昨年で40周年になることを記念して出版されたもの。現在のThe Foxfire FundのpresidentであるAnn Mooreがこの本にかかわって30年だそうだ。
 ところで前にも書いたのだけれども、この本は地域のベテランのお話を記録するに際し、その方のしゃべり方をできるだけ再現しているものだから、語っている部分がいろいろ文字として省略されていたりするので、そんな習慣になれていないものにとっては、なかなかすっきり読めないものがある。そうして考えてみると伊奈かっぺいが青森弁で書いたあの憲法の本も青森弁(無責任にもそういう特定の仕方で判然とするものかどうか知らないが)を知らない外国人にとってはむむむ・・・何をいっているんだろうという疑問を抱かせるということか。

NHKスペシャル「年金記録は取りもどせるか〜社会保険事務所からの報告〜」

 キャスターの飯野奈津子の語りはどうも誰かに似ているなぁと思っていたんだけれど、ひょっとしたらあの松平アナウンサーの語りなんじゃないか。語尾を呼吸で出すところなんかそっくりだ。
 ま、そんなことはどうでも良いのだけれども、このタイミングで録画撮りで作られていたのだろうか。私は番組が始まる前から、このタイミングでは片っ端から編集し直しになるんじゃないかと思っていたけれど、川崎社会保険事務所を舞台にあぶり出すというやり方だったからできた、ということだろうか。それにしても番組中に登場してきた元上司(つまり彼は中央から出向したキャリアだったのだろう)がにやつきながら発言した「嫌がるものを無理矢理作業させるっていうのはなかなか難しいでしょう、どこでも」という発言に呆れ果てた。じゃ、君は「役に立っていなかったんだよ!」即刻クビだったわけで、それをそのままに放置するというのが中央官僚の決定的な国民に対する背任だったわけだ。この番組を見た人のほとんどは厚生省・社会保険庁という役所が如何に職業を馬鹿にしてきたかに疑問を挟むことはないだろう。
 キーパンチャーの作業をチェックすることをしなかった放置、そして補正の店ざらしの責任は上から下まで、すべての職員に責任がある。ふざけるなと本当に腹の底から怒りがこみ上げてくる。
再放送予定:NHK総合 2007年12月19日(水)深夜【木曜午前】0時10分〜1時9分