ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

二条城

その気になって二条城にむかう事にする。地下鉄で一駅乗っては乗り換えてまた一駅。二条城前で外に出る。実は3月、この傍のビジネスホテルに泊まったのに、二条城には来なかった。二条城はこの入り口で撮った写真があるので、修学旅行で訪ねた事を覚えている。

しかし、もっともっと厳かな雰囲気だったような気がする。どうもこのお城は京都市の管理下にあるためか、管理のための管理になっている様子が感じられてしまう。世界遺産という話のようだけれども、その世界遺産を大事にしたい、という意欲というか思いこみというか、そうしたものがまったく感じられないのである。多分充分な事をするためのフレキシビリティーが役所であるがために阻害されてしまっている、といっても良いかも知れない。いやいや、仕事だからという事でおこなわれる文化財保護ほど寂しいものはない。折角の施設をより良く管理公開しようという意欲が見られないのは残念。

廻りながらそんな気持ちになり、疲れ果てて入口に返ってくると靴箱前の大きな段差のある階段で、やれやれ膝も痛くて参ったなぁと座り込む。汗を拭きながら懐に風を入れていると相前後して廻っておられた高齢の女性も、そんな雰囲気でお座りになった。それぞれ、あっちの端とこっちの端で、人の邪魔にならぬ隅に好一対といった感じである。
いやはや歳は取りたくないものだ、と思っていると靴箱のところにいた若い女性係員が「そこは交通の邪魔になりますから、座らないで下さい!」と云った。私は思わず聞き間違いかと思った。人の邪魔にならぬようにわざわざ隅によけて座ったのである。そこは決して人が通りかかるところではないのだ。この瞬間に、あぁ京都市はきっとこの二条城に愛情を持ってはいないのだな、とわかったような気がした。


ここがお寺さんである三十三間堂と市の施設である二条城との決定的な相違である。