ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

議員互助年金のその後

 昨年、年金改革法案が審議中にもかかわらず与党の強行突破で通ってしまった後、国民年金保険料への代議士の未納問題旋風が吹き荒れ、何人かが表舞台から降りた。とはいえ、代議士は選挙民からの信託を受けているのだからという大義名分で、簡単には代議士の立場から降りる輩はいない。こうした選ばれた人たちは「恥」というものからは相当に縁遠い距離にいるように見える。
 国会議員は互助年金という名前の独自な年金制度を持っている。10年以上代議士を務めた議員に資格ができる。現在の受給者は遺族を含めて946人いる。年間に126万円積み立てx10年で1260万円。支給が開始されると年間428万円が給付されるから3年を超えればそれ以降は丸儲け、というわけだそうだ。(http://blog.livedoor.jp/nenkin1/
 しかも国庫負担率は7割だというので、これは互助年金とは名ばかりで、ほぼそのまま国庫負担といえちゃいそう(かなり乱暴)である。それで、議員先生方にはこれだけの年金かといえば厚生年金と一緒でこれは二階部分に過ぎない。で、例の年金改革法案が無理やり通ってしまった時に、私の国のチーフ公僕が思わず一元化を視野に入れて、なんていうことをいったので、「国会議員の互助年金(議員年金)等に関する調査会」というものがつくられて抜本的な改革案を提示するはずだった。で、20日に「現行の国会議員互助年金法を廃止し、議員年金の国庫負担比率を現行の約7割から5割程度に引き下げ、給付額も削減する「国会議員年金法」の早期制定を求める答申を衆参両院議長に提出」した(毎日新聞:2005年1月20日東京夕刊)。つまり「廃止」なんだけど

国庫負担:7割→5割
資格年数:10年→12年
最高受給額:741.6万円→392.224万円
年間負担:126万円→219.89万円
ただし、既に受給している元国会議員については現行のままとする

という提案で、「国会議員年金法」をつくります、という話である。これ、「廃止」という表現を使う意味が存在するのであろうか。単なる“やっぱちょっとまずいからやった、というところを見せなきゃね・・・”という根性でしかない。
 毎日の社説はやさしくも「国会議員に年金が不要だとはいわないが」といっているが、本来的に国会議員は「職業」なのかという根本的疑問が私にはある。だから、そもそも退職金が存在することがおかしいと思う。しかも拠出分がたったの3割である年金をどうして必要だというのだろうか。これがなくては引退後暮らしていけないのであれば、国民年金というものは既に全く足りないのだと宣言しているということである。こうした特権的扱いが、どのような場合でもその論議の中で一般的市民の生活感から遊離していることは想像に難くない。
 昨年議員年金をなくして一本化しようという話になった時に、与党はなかなかその協議のグループを立ち上げようとしなかった。その時点で何となく、あぁやっぱりいつものパターンかな、と思ってはいた。だから、この程度の子ども騙しが麗々しく取りあげられる茶番については驚きはしないが、前人事院総裁が座長になって考えた結果なのだとするならば(事実そうなのだけれども)、いつまで経っても変わらない。渡部記安・立正大大学院教授の意見は圧殺されてしまったようである。
 財源を増税による無拠出の税負担による一律年金を考えるべきかと思う。人間最後はそれまでの業務がなんであったかに関係なく、ひとりの人間としてみな同じである。不公平な徴税システムの改善、不公平な保険料徴収(未納:45%、1000万人、未納額1300億円)の解消、所得税の累進化率の変更によって高所得者層からの再配分の徹底化、といったものをはっきりさせる必要がある。これが実現するとタンス預金が市場に出回る傾向ができる。現在の与党の方針で行くと、ますますタンス預金はふくらみ、日本の経済の活性化はなかなか望めはしないだろう。