美輪明宏さんがラジオでいっていた。「衣食住の環境が人をつくる」と。米国のスラムのファッションを真似ているとそうした環境で「人から愛される状況の少ないこと」によって陥りがちな、投げやりな精神性をそのまま再現してしまいかねないというのである。あ、こういう風に表現すればいいのか、と思った。確かにそういう状況を目の当たりにすることがある。自分でも、それは感じる。だからファッションに過ぎない、という表現をしてもやっぱりその「そんな程度に過ぎない」筈のファッションが人をつくる。規範の中に人を留め、あるいは規範を無視する力をつくり出す。これを逆から言えばその気になるためにその格好をするというのもある。パジャマを着たままパソコンの前に座ると今日自分は自堕落かも知れないという意識が積み重なる。スーツを着てコートをかさねソフトを被ると背筋は伸びる。だから、やっぱり安いからそれでいいやという気持ちだけで買ってはいけないのかも知れない。そうはいっても背に腹は替えられないのだけれどね。
