ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

やっぱりね、「突然の帰国」

産経新聞は下記のように報じている。

中国外務省は二十四日、靖国神社参拝をめぐる小泉首相武部勤自民党幹事長の発言が副首相の緊急帰国の理由だったと認め、日本側の批判に真っ向から反論、対決姿勢をにじませた。国内の反日世論を背景に胡錦濤政権が今後、対日圧力を強めるのは必至な形勢で、民間交流にも影響は避けられないとみられている。
(中略)
五月の外相会談で合意した呉儀副首相の訪日は「関係改善・発展の一歩」(中国外務省報道官)だったが、副首相は突然、「緊急な公務のため」との理由で小泉首相との会談をキャンセルして帰国。河野洋平衆院議長との会談や日本経団連主催の講演はこなし、二十四日からのモンゴル訪問も予定通りだったことなどから、日本側では「非礼」との批判が噴出していた。

産経新聞の報道基調は外交筋の見方として

胡錦濤政権が愛国主義教育を求心力にしている点に不安を示しつつ「中国にとっても利益の大きい日本との実務関係への影響は限定的ではないか」とし、「政冷経熱」が続くと述べた。

ということだそうである。
一方朝日新聞は25日の社説で

 「内政干渉」という言葉には、これ以上の問答は無用といわんばかりの響きがある。今回の中国側の会談キャンセルにも似たものが感じられる。「会いたくないのを会う必要はない」と首相が言い、「大使館への破壊活動と一脈通じるものがある」と町村外相が不快感を言う。

 どうやら現政権は中国がどんなことをいおうとどのような外交的状況になろうと自分の面子以外を考えることができないという井の中の蛙状況でしか判断できなくなっているようにも見える。「なんで会談しないんですかねぇ、話せばわかるじゃないですかねぇ」という私の国のリーダーの話し方は人を小馬鹿にしたニュアンスを相手に明確に伝えていると私には思える。「適切に判断します」という言葉を考え出したのは本当に彼なのか、それとも後ろにいる人形遣いなのか。
 武部自民党幹事長は訪中の際に「世論調査によると首相の靖国神社参拝に対する中国側の批判は、内政干渉だという人もいる」と述べたという。この発言について24日、武部幹事長は「私個人はそうは思っていない」と会見で釈明している。そう思っていないんだったら、こんな公式の場でそんなことをいう必要はない。この人はよくよくこうした立場にふさわしい人だと思えないことをする。今に始まったことじゃない。こんな人しかこの立場にふさわしい人はいないんだろうか、この国には。
 私は人のことをいえるほど口が堅い人間ではなくて、これまでの人生の中で、今想い出してもぞくっとするような舌禍を引き起こしてきた。だからよくわかるのだけれど、あぁした軽佻浮薄な人(私は時の上司から目の前でそう表現されたことがあるくらいだから本物なんだろうと自負している)はその場の雰囲気に(結果として)呑まれてよく考えることもしないで、“この立場ではちょっとこれくらいのことをいわないと軽く見られちゃうからな”なんて猿知恵を働かせて失敗してしまう。(私をそう表現した時の上司も実は同類で、初めてDirectorとして出席した投資先の会社のボード・ミーティングで、マーケット状況もよく知らないまま、「君たちは売り上げ拡大のための努力をしていない」と啖呵を切って親会社宛にremoval requestを出されていた。呑まれちゃいけないなんてよけいな駆け引きを考えて策に溺れるという奴だ。)
 A級戦犯を合祀している施設(私の暮らす国では神となった英霊を「奉る」【神社】という神道という宗教の重要な施設)への参拝。サンフランシスコ講和条約では彼ら戦犯を有罪とした東京裁判の判決がその基礎にあって、その結果今のこの国の戦後を創り出してきた。しかし、この国では処刑されずにその後釈放された紛れもないA級戦犯を総理大臣としてこの国の舵取りを任せたくらいである。これだけの問題に発展している自らの発言の影響の大きさ、その言葉の意味の大きさなんてものを理解できる人たちがやっているとは思えない。
 こうして考えてくると、アジア太平洋戦争をどのように歴史として真摯に受け止めるか、そこに至る過程でねじ曲げてきた歴史・伝統の意味づけを国家体制をも含めて自らの手できちんと整理しなおす、ということができず、GHQにその機動力と責任を何もかも全部おんぶにだっこでやり直してきてしまったことが、その後の何もかものエクスキューズの理由とすることができてしまったという不幸せな構図が見えてくる。どこまでも騙される、そんな放り出し価値観でこれから先のこの国のあり方が決められていくので良ければそうなるしかない。ただ、わたしはそうしていきたいとは思わないだけである。
 おとなり日記には私と反対意見の人ばかりである。