ほぼ足りてまだ欲 その先

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障がい者自立支援法

 7月15日にこの障がいを持つ人たちの生活を政府が(ということはこの私たちが)放り出すための法律である「障がい者自立支援法」が衆議院本会議で可決された。知的、身体、精神の各障がい者に該当する人が支援サービスを受ける時に一律一割の自己負担を課すというところに大いに問題が存在している。自分が受けるサービスに対して何らかの負担をする、というのはごく日常的な生活をなんら支障なく一人で続けることのできる人に対して要求すべき考え方である。それをすべてのサービス受益者に要求しようとするその出発点がまず間違えている。高齢者医療を全員無料にした時のことでやり方を間違えてしまった官僚および学識経験者がその羮に懲りて膾を吹くのたとえのごとく、馬鹿のひとつ覚えですべての人に適用しようとするこの悪法は立派に後世に伝えられることであろう。
 なにかというと、適用の難しい人々に対してはセイフティー・ネットですくい上げるという言い訳をする。これは介護保険の時もそう説明されていた。しかし、それでは公的扶助の現場はこの法と関連した新たな指針の下に行われるのかといえば、決してそんなことはない。そちらにすべてを押しつけて、イヤなこともすべて耐えた上でなら助けてやらないこともないというのがこのシステムだといっても良いくらいである。
 今現在こうしたエクスクルージョンの対象となってしまっている人々が絶対数の上では正に数少ない限られた人数ではあるが、こうした状況を打破することのできない風土、文化を私たちは創り出していって良いのだろうか。厚生労働省が創り出しているのでもなく、国会が創り出しているのでもなく、無関心を装う私たち一人一人がこうした風土を創り出しているのである。
 この法案の衆院採決もほとんどマスコミでは大きく取り上げられることがなさそうに見える。多くのマスコミはこの法案はどうせ郵政民営化が否定されさえすれば同じような壁にぶち当たるからその時に論議すればいいや、と思っているということだろうか。それともさしあたりわが家には障がいを持つ人間はいないから将来どうかと心配する必要がないからいいや、と思っているのだろうか。