ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

研修は労働か

 古くて新しい話。昨日の朝日新聞。長いけれど引用する。

製造支える外国人労働者
「受け入れ特区」導入2年
外国人労働者の受け入れ枠を拡げる政府の構造改革特区が導入されて2年あまり。人手不足に悩む地方の製造現場では、安価な賃金で働く中国人研修生らが重要な労働力になっている。新たな特区申請に名乗りを上げる地域も相次ぐが、厚生労働省は不法残留の温床になるなどとして新たな特区認可には慎重な姿勢だ。(山本精作、海東英雄)
拡大へは不法残留が壁
(略)
(28歳の中国人研修生の話)手取りは月12万円あまりだが、来日前の約6倍だという。 地場(今治市)のタオル業界は、安価な中国製品の輸入に押され、2001年には政府に繊維セーフガード(緊急輸入制限措置)の発動を要請した経緯がある。(略)(このほかの特区では、北海道の猿払村も2004年3月に認められた。82人の中国人女性が基幹産業の水産加工業を支える。)日本で働く外国人研修生・実習生は約12万人(推計)。2004年には前年比16%増の約7万5千人が新たに来日した。約7割が中国人だ。研修生が多いのは茨城県(3474人)、岐阜県(3025人)、愛知県(2767人)の順。受け入れ産業としては繊維、食品、機械組み立てなどの中小零細企業が多い。国際研修協力機構(JITCO)に寄ると、研修生からの不法残留者数は2005年に約3600人。実習生は3年連続で1千人以上が職場から消えた。(朝日新聞051223 13版)

 JITCOはいくつもの省が相乗りで作った「研修・実習」ビザに対応して外国人を受け入れる企業の窓口となっている機構。と、いえば聞こえはよいけれど、実際は「研修・実習」という名目で入れてくる(我が国では原則的に許されていない)外国人非熟練工労働者の斡旋機構。先日二審でも有罪判決を受けた元国会議員だった村上某が絡んでいた。つまり、安い外国人非熟練工の導入制度である。こうした特別例、例外的措置というものを作るとこれは当然利権の巣くうものとなる。毎年千人もの外国人が職場から消えて不法残留者となっているということは、尋常なことではない。こうした状況がベースにあって初めて稼働している地方の中小零細企業現場の実状を明らかにすることが、外国人労働者に対する表門を開くことに繋がるべきではないのか。安けりゃいいのだとすると、耐震強度がたいしたことのないマンションもそのままにしておくか。
 隠し事は怪しい状況を生み出すに決まっているのだ。