ほぼ足りてまだ欲 その先

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差し戻し

 光の母子殺人事件は高裁の無期懲役判決を破棄し、審理を高裁に差し戻し、ということになった。被害者の夫はこれまでに何回もテレビで取り上げられて最高刑を訴えてきた。一方当時18歳と30日だった犯人の方は死刑廃止論安田好弘弁護士である。安田弁護士は松本智津夫のかつては弁護士だった。その間に顧問をしていた会社の事件で逮捕され拘置され、松本の事件からは関係が絶たれた。一方的に世間全体を敵に回している事件の犯人の弁護を続けている。そうなると、「あの人しかやってくれないだろう」と回ってくるのだという。
 世間の大勢は被害者である一人残された旦那さんを支える眼である。気の毒である。私が彼の立場だったとしても「自分が守ってやることができなかった」という意識に駆られ、愛する妻と生まれたばかりの娘を失ったという現実を受容できるとは思えない。傍聴人をかき分けて法廷に出てきた犯人をひと思いに刺し殺したいという気持ちをどうやったら抑えつけられたのかと感心する。自殺したいと思ったという気持ちは心の底から分かる。私だったら、妻がそんな若造のアホタレに乱暴なことをされたことがトラウマになって、ひょんなことで想い出したりして、これから先どんなことになってももう良いよ、と捨て鉢な生活を送ったに違いない。酒に溺れたことだろう。肝臓を初め身体全部を壊して早死にしたかも知れないし、むしろそれでよいと思ってしまいそうだ。「お前も死ね!」と犯人に怒鳴りたい。しかも、こいつは被害者である夫をあざ笑う様な手紙を書いたりもしている。分かっていないんだ。世の中の本当のところをあの男は分かっていないのだ。
 だけれども・・・だけれども・・・死に対して死をもって報いるという方法だけが選択肢なのだろうか。刑が執行されれば全てがすっきりと氷解するだろうか。敢えていってしまうともしあの犯人が私の息子だったとしたら、という仮定も考えてしまう。なんか・・・なぁ・・・。なぜ日本では終身刑が議論されないのだろうか。