ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

白州次郎ブーム

 週刊金曜日という週刊誌がある。現在の発行人は佐高信。あの辛口である。儲かっていないらしい。きついし、先鋭化していると見られているんだろうなと思う。残念ながらわが家の近辺では買えない。銀座の教文館に行った時にまとめてバック・ナンバーを買う。さすがに八重洲ブックセンタージュンク堂あたりでそのバックナンバーを見ない。八重洲ブックセンターでは以前、おいてあった記憶があるのだけれど、最近見つけられないのだ。その06/11/03付No.629のp.58に「なぜかブームの白州次郎 昭和の快男児は利権がお好き?」という記事が出ている。著者は松井克明。吉田茂との繋がりが顕著な人だったことは私も知っている。なにしろサンフランシスコ講和条約調印の時の吉田の演説原稿が英語で準備されていたものを日本語に急遽変え、前の晩に巻紙に急遽認めたという逸話が伝わっていて、このことはテレビ番組でも取り上げられていたから相当知られている。しかし、彼は戦中徴兵されそうになった時に収穫した野菜を持ってその免除を頼みに行ったという話もある。実際彼は徴兵されていない。吉田茂に近かったことはよく知られている。吉田政権下で九電会長が麻生太賀吉で、東北電力会長が白州次郎だったというのは知らなかった。日本テレビへの政府認可にも絡んでいたそうで、彼は日本テレビの取締役にも就任している。キャノン機関のキャノンとも親交があったという。今の新日鐵広畑をジャーディン・マセソンとの合弁会社で運営することを吉田茂に働きかけた実績も持つという。白州の格好良い話はあちこちで書かれているが、こっちの方面の話については、ここ1-2年のマスコミは触れることを避けて通っているようである。。吉田茂麻生太郎岸信介安倍晋三と、巧くできているものだ。
 この種の雑誌はほとんど多くの読者に恵まれていないから彼の名声にはなんの影響もないだろう。なにしろ本屋さんは営業だから、売れるかも知れないと思えばその勢いで、どどっと便乗出版、便乗企画を出して店頭にキャッチのひとつもぶら下げ、平積みするとすぐにそっち方面に持って行くことができてしまう。なんとも際物というか、すぐに陳腐になってしまう企画で今二ぐらいの「文春新書」もあのおぼちゃま本で、どっと売れたのだろうし、方針にもぴったりだったから万々歳だろうけれど、あれだけ平積みして同じ店内のあっちにもこっちにも並べたらそりゃ売り上げは上がる。その分本屋さんも儲かる。流れに棹さすのはあっという間に流されちゃう。かつてある本屋で働く知人が「売れている本は支持を受けているということだ」といったことがあったので、そんな本を買ったら支持していると見られるのかと逡巡したこともある。ただし、私にとって支持できそうもない本は買わずに図書館で借りて読む。
 こういう批判を書く本は批判される側からは読まれない。そりゃそうだ、私も時間がもったいないからなんだか時代が70年ほど昔にかえってしまったのかも知れないというような見出しが踊る月刊誌は読まないものなぁ。
 それにしてもこの週刊誌は一体全体将来的に持つだろうか。この号には上野千鶴子佐高信の対談なんてのもある。この前週号とこの号に「リストカット」の特集がある。