ほぼ足りてまだ欲 その先

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ラジオ深夜便

 夜中に眼が覚めてしまったからといってそのまま起きだして作業にとりかかるときっと朝まで何かをしてしまって、その日の午前中を棒に振る、というのがいつものパターンなので“頑張って”寝ることにするがなかなか寝付けない。そうこうするうちにラジオは深夜便が十代目金原亭馬生志ん朝のお兄さんで池波志乃中尾彬の嫁さん)のお父さん)の「落語“与話情浮名横櫛”」である。落語でこんな話をやるんだとはこれまで聞いたこともなかった。しかもこの録音は誰か他の噺家とでもつなぎでやっているらしくて頭のところで十代目の馬生がそんなつなぎ方をしている。
 それにしてもお富・与三郎とくれば「おかみさんへぇ、ご新造さんへぇ、いやさ、お富み、久しぶりだなぁ・・」である。尤も私が一番よく見たこの場面といえば、団十郎+菊五郎だとでもいえばその辺の方から羨望の眼で見られるというくらいのものであろうけれども、実際は雲の上団語楼 団五郎 一座の三木のり平と八波むとしの与三郎と蝙蝠安だから情けない。ところが今夜のこの録音は与三郎が遠島の刑に処せられた佐渡島を脱出するという場面である。歌舞伎でも見たことがなければ勿論落語でも聞いたことがない。ところが甲南女子大の先生のサイトで拝見するとそもそもこの話は講釈師、乾坤坊良斎によって創作された、とあるくらいだから人情噺としては馴染むはずのものなのだろう。
 昨年の10月の国立演芸場での十一代目馬生一門の特別企画公演・鹿芝居は林家正雀の落語「木更津見染め」、十一代目金原亭馬生の落語「赤間の仕返し」とふたつのリレーときて、鹿芝居が源氏店だったんだそうでこりゃ惜しいことをした(来月の鹿芝居は「七段目 祇園一力茶屋の場」だそうだ)。こちらで拝見するとこの録音は2003年3月2日にもラジオ深夜便で放送されている様だ。こういう噺はなかなかやる人も少ないだろう。