ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

国立演芸場

 午前中は昨日の夜中からのめげた雰囲気に振り回されている、という感じだったんだけれど、寄席はどう?というお知り合いの方からのお誘いで国立演芸場の3月上席の千穐楽に参上。正面入口に来たら代演のお知らせが。トリのはん治が代演だとはずっと前から知らされていたけれど、あと二人書いてある。どうも今日は代演だらけみたいじゃないの、という雰囲気だったんだけれども、とりあえず。真ん中の後ろから5列目ほどに座る。前座があがった頃には後ろ3列ほどは誰もいない、それだけじゃなくてあちこちにバラバラと空席があるという状態。オイオイ、どうなってんの、土曜日だってのに。
 緞帳が上がるとめくりには「古今亭だん五」とある。なんちゅう名前なんだよ、と思ったら登場してきた当の本人を見て、連れあいが「本当だ!」と声を上げる。なるほどと思う体型なんですなぁ。多分そうだと思ったらやっぱり志ん五の弟子で、去年の11月に前座になったばっかりだ。まだ21歳。飽きずに頑張ってくれると良いねぇ。演題は子ほめ。
 いよいよはじまりで最初は、演しものは寿限無だけれど、なかなかの芸達者は志の輔の弟子の志の吉だ。巧くなるだろうねぇ、途中で飽きちゃわなければ。学校の先生が出席を採る時に安倍君だとか、小泉君だとかくすぐってくるところはなかなかなセンスを感じさせる。
 漫才はファイアダンス。味としては良いものがあるんだなというのは特にボケの方に感じるんだけれど、もっともっと揉まれないとまだまだ。
 次が去年真打ちに昇格して柳亭小太郎から名前の変わった柳亭左龍で、演しものは志ん生風の「風呂敷」。もう最近は間男だったりする噺はイヤだからこういう具合に、「遅いっていってたもんだからね、町内の若い衆が“兄い、いますか”ってきたもんだからあがって貰ったんですよ、そしたらそこへ雨でねぇ、降り込まれるのがイヤで、雨戸を閉めたんです。そうしたら、あの人ったらそこへ帰ってきたんですよぉ〜」ってぇことの方が私は良い。
 続きましては大体毎回同じ展開の「サムライ日本」の三人。ほとんど違う展開を見た記憶がないのだけれど、やっぱり今日もわっはっはと笑ってしまう。不思議である。彼らを見ていると昔トリオものが流行った頃のことを思い出すんだよなぁ。
 この辺まで経ってもまだまだお客が出たり入ったりするのがいつもとちょっと雰囲気が違う。次も去年真打ちに昇進した柳家三三で、演しものが季節柄、ちょっと早いかも知れないけれど長屋の花見。午前中に学校で落語をやってきたといっていたけれど、中席は末広と鈴本の昼を兼ね、下席は浅草の夜だというのだからさすがに小さん治の弟子、34歳の売れっ子だ。噺もぽんぽんと気持ちが良い!
 中入りのあとはわはは本舗のポカスカジャン。私は二度目。大体のパターンは読める。今日もまた形態模写に金正日あり。お笑い界のヌーベルバーグ(表現が古すぎるか・・)である。
 次は入船亭扇好で「真田小僧」。
 本日の膝代わりは手品の花島世津子。名前でわかるけれど松旭斎すみえの弟子。だけれども今は柳家小さん治一門ということになっているそうで、へぇ〜、そんなこと可能なんですかぁ〜?!花島皆子、松旭斎ちどり、花島世津子、花島久美、花島みどり、花島けいこが松旭斎すみえの弟子なんだそうで、ちなみに花島というのは松旭斎すみえの旦那だった腹話術師の花島三郎から。
 今日のトリは代演(トリが代演なんだもんなぁ、柳家はん治は今日は座間)で、柳家さん生で、演しものは「試し酒」である。浅草の代演をすまして国立の代演、そしてそこから日大芸術学部落語研究会にいくということがご自分のサイトに書いてあるが、どうやらこのサイトはおかみさんがメンテしているらしい。さすがの試し酒。そういえば試し酒は権太郎を随分と昔にTBSの公開録音を銀座スエヒロで聞いて感動した記憶がある。彼は飲むごとに顔が赤くなっていったのである。すげぇ!そういえばあの時が三木助の最後だった。やっぱり土曜日はお客さんの年齢層が幅広いのである。
 さん生がまくらで酒の話をする。二日酔いの薬なんてものは結局ないと。私は小料理屋推進委員会ですという。入口に鉢植えなんぞがきちんとなくちゃいけないって。しかも、その鉢植えには卵の殻が逆さまにして並べてなくちゃらない。開けるとLの字のカウンター。おかみさんは「これはもう50絡みの未亡人じゃなくちゃいけません、しかも和服です!」と強調する。そうそう、私のお友達で、日頃から「訳ありの未亡人と遭遇」を夢にしている人がいる。昔はそうした小料理屋はちょっと敷居が高くて、居酒屋といえばそうした小さな店だけれども、ガラッパチで知らないところで入ってもたかが知れているってのをいったような気がする。今では居酒屋というとすっかり大規模チェーン店のことをいうことになった。
 帰り道で随分久しぶりのスカウト・リーダー仲間に遭遇。近所の和菓子屋を覗くと桜餅が三つだけ残っている。声をかけたら出てきた旦那に、「悪いけれど、桜餅をあるったけ貰おうじゃねぇか」というとむこうは「買い占めですね」ときた。葉っぱの塩味と香りがたまらない。