ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

厳格指導・・どれほどの実効性があるというのかねぇ。

東京新聞(2007年03月24日 17時23分)(共同)
偽装請負」指導厳格に企業に直接雇用求める
 厚生労働省は24日までに、労働者派遣法に違反する「偽装請負」について3年を超えて続けていた場合には、請負労働者を正社員や契約社員などの形で直接雇用したり、ほかの仕事をあっせんしたりするよう企業側を是正指導することを決めた。
 従来は、労働者派遣の期間制限を超えて働かせていた場合も事実上、派遣社員への切り替えを認めていたが、不安定な雇用形態のまま働かせ続けることを避けるため指導を厳格化。都道府県の労働局長に通知を出した。
 偽装請負は、実際は労働者派遣なのに、契約上は請負とするケース。請負労働者の労働条件の劣悪さや雇用の不安定さ、企業のコンプライアンス(法令順守)が問題になっている。
 2004年3月に解禁された製造業に対する労働者派遣の期間制限が今年3月から、経過措置の1年間から3年間に延長されたことをきっかけに、指導内容を見直した。

東京新聞(2007年03月25日 18時08分)(共同)
「3500人を直接雇用へキヤノン偽装請負解消で」
 キヤノンは25日、国内のグループ企業19社の製造部門で働く派遣労働者や請負労働者のうち計3500人を、2007、08年度の2年間に正社員などとして直接雇用する方針を明らかにした。
 請負労働者を正社員の指揮下で働かせる「偽装請負」があったとして、同社は2003年から2005年にかけて労働局から計7件指導を受けており、受け入れ期間が長期化した派遣社員の正社員化などと併せ、改善を図る。
 キヤノンはグループの製造部門で、この2年間に新卒の定期採用などを含め計5000人を直接雇用する計画。このうち1000人は、現在、派遣労働者や請負労働者として間接雇用している従業員を正社員として中途採用、2500人を契約期間3年未満の期間社員として採用する方針だ。
 キヤノングループの製造部門の従業員は現在、7割以上が間接雇用。

 キャノングループの社員総数はこちらの「日経ナビ2008」によると「11万5583人(国内42%、海外58%)(2005年12月現在)」ということのようだ(ものすごい数だなぁ)。ということはグループ全体の国内にいる正社員だけでも48,500人ほどいることになる。資料がないので乱暴な設定を敢えてするとこの半分が製造部門だったとして、24,000人が東京新聞が伝える「3割」の直接雇用に相当するのだとしたら、「7割」の間接雇用は56,000人に相当することになる。この中からわずかに3,500人が2年かけて直接雇用になる、という話である。
 しかも、この記事の後半をよく見ると、その3,500人のうち本当に正社員になるのは1,000人に過ぎず、残り2,500人は「契約期間3年未満の期間社員」としての採用と書いてある。正確にいえばキャノングループは全体で2年間かけて1,000人、つまり一年間に500人を(偽装請負あるいは期間を超えての派遣などを含む)間接雇用から直接雇用とする、ということなのではないのだろうか。
 しかもこのグループでは2005年までの3年間に7件の労働局による指導を受けてきている。まさに法令を逸脱したことが(判明しているだけでも)7ケース確実に存在したと云うことなのだ。その挙げ句の果てが一年間にわずか500人の話である。本来的に云えば労働局の指導を受けた段階で、そうした状況にいる間接雇用就業者を全員正しい雇用状況におかなくてはならないはずではないのか。
 ではなぜこの時期にこの話が出てきたのか。それは当然の如く団塊年代退職の穴埋めであって、経団連会長を輩出している「大企業」の好景気のおかげである。おかげにしちゃあ随分とせこい話じゃないか。