ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

CBSドキュメント

 今朝未明のTBSテレビ「CBSドキュメント」を見た。

One Laptop Per Child

 Nicholas Negroponte:マサチューセッツ工科大学メディアラボの創設者・名誉会長。アメリカ合衆国国家情報長官ジョン・ネグロポンテ実弟非営利団体「One Laptop Per Child(略称:OLPC)」を率いる。
 OLPCの活動は教育のチャンスに恵まれていない子どもに低価格で耐久性に優れたラップトップパソコンを支給して、それを窓口にして教育のチャンスを手にして欲しいというものである。彼らのサイトは多国言語化されており、日本語でも読むことができる。彼らが開発したラップトップは「100ドルラップトップ」と呼ばれているが、このインタビューの時点では$176ドルだと説明されている。
 カンボジアのレックスマイルという電気も電話も来ていない村に彼らは1999年に小学校を建て、発電機を常備してそこでこのラップトップを子どもたちに配布している。バッテリーは10-12時間の耐久力があり、いざとなれば人力発電も可能。子どもは詳しく教え込まなくても自分で、あるいは友達同士で教えあうことによってあっという間に使いこなしてしまうことが証明されているという。今年の新学期には学校に入ってくる子どもの数が驚異的に伸びたのだそうだ。
 しかし、そうした状況にある村に、他の何ものでもなく、なにゆえにラップトップなんだという疑問が湧いて当たり前だろう。ニコラス・ネグロポンテの説明はこうだ。学校に行けない子どもにとってパソコンがまさに彼らの学校になるのだというのである。ここに賛否両論があるわけだ。そんな環境の中でそこにぽっかり世界の情報の窓が開いて様々なものが流れ込んでくることによって彼らは生まれ育っているその地域でどの様な意識を持ち始めるのだろうか、自然の中で走り回っていた少年少女が背中を丸めてパソコンを覗き込む毎日を迎えてそれが果たして幸せなのか、という意見までもが語られているようである。どんなに新たなデバイスが投入されても最後にやっぱり必要なのは先生と生徒の一対一のコミュニケーションであるというところは変わりようがない、というのが結論なのではないだろうか。
 このラップトップはキーボードに水がかかっても大丈夫であり、本体そのものに隙間が存在しないのだから、埃や砂が侵入する恐れすらない。直射日光の下でも見やすい液晶画面でできており、無線アンテナが装備されていて通常のパソコンの2-3倍の範囲から無線をとることが可能である。
 ところがインテル社やマイクロソフトビル・ゲイツニコラス・ネグロポンテの「100ドル・ラップトップ」を「おもちゃだ!」と酷評した。インテルは「Classmate」という名称のラップトップを丁度一年前に発表したものでHDDのかわりにフラッシュメモリーを用いているもので400ドルと発表された。OLPCインテル社はOLPCが掲げる思想をすっ飛ばし、ただ単にコマーシャリズムの観点のみで市場に参入し、各国に「100ドル・ラップトップ」との比較表を送りつけて窮地に追い込もうとしているとニコラス・ネグロポンテは大いに非難をしていた。
 この「100ドル・ラップトップ」は勿論先進諸国でも購入ができるようになるとのことだけれど、その場合には丁度2倍の値段で売り出すのだそうで、その意味は一台は自分のために、そしてもう一台は教育環境に恵まれない現地の子どものためにということなのだそうだ。
今年の5月に放映されたこの番組ではここまでしか報じられていないが、実はその後ドラマティックに事態は進展しているようである。シーネットネットワークスジャパン編集部経由の海外CNET Networks(2007年07月17日11時47分)によればOLPCは「GoogleeBay、Nortel、Advanced Micro DevicesAMD)に続き、OLPCの11社目の参加メンバーにインテル社が加わることになった」と発表したのだそうだ。まだまだ、各社のポジションがハッキリしている訳でもなさそうで、紆余曲折ありそうではあるが、一歩前進したのか、あるいはより面倒なことになったのかはあとになってみないとわからないだろう。いずれにしろこれからどんどんパソコンが普及していくだろうことは間違いがない。するとどの様な問題が起こるのかを各分野が想定していく必要があるかも知れない。

Mitt Romney

 共和党の大統領選挙候補として名乗りを上げている候補者のひとりである。今朝放映されたものは米国で5月14日に放映されたものであるけれど、その後もCBSのNews videoサイトでは彼に関するビデオをいくつかチェックすることができる。また、日本では毎日新聞の2007年7月21日東京朝刊が彼を紹介している。ロムニーは2002年のユタ州ソルト・レイク・シティーで開かれた冬季オリンピックの組織委員長を務め、2001年の多発テロ直後のオリンピックを黒字で乗り切ったとして知られているし、全マサチューセッツ州知事である。
 モルモン教徒であるミット・ロムニーは勿論モルモン教が創設したユタ州ProvoにあるBrigham Young Universityの出身でその後ハーバード大ビジネススクールロースクールを修了した超エリートである。
 自動車業界で成功してデトロイトのあるミシガン州知事を務め、1968年の大統領選では共和党予備選でニクソン氏に敗れたジョージ・ロムニーを父親に持つ。190センチ近い長身でハンサム。米誌の「最も美しい50人」に選ばれた資産家賭して広く知られている。予備選が最も早く行われるアイオワサウスカロライナ、ニュー・ハンプシャーのうち、南部ではともかく、アイオワ、ニュー・ハンプシャーでは良いポジションを得られるのではないかというのが彼の陣営の読みである。しかし、政教分離原則があるとはいえ、ミット・ロムニーは「キリストはアメリカに復活した」という教義を持つキリスト教としては超マイノリティーであり、超保守的なスタンスを持つモルモン教徒であり、それを頭から払拭できる米国人がそんなに多いとはちょっと考えにくい。
 モルモン教といえば、コーヒー、紅茶、コーラ等の刺激物、酒、煙草等は一切とらない、収入の1割は教会(彼らはテンプルと呼んでいる)に献金する、一夫多妻を未だに実践している、といった見方をされているようだ。多くの若者はProvoのBYUの傍にあるランゲッジ・スクールで厳しい研修を受けて海外へ約二年間布教に出る。今時珍しいくらいにきちんとした身なりで胸にネームプレイとをつけて二人一組で「英語の勉強をしませんか」と勧誘してくれる青年たちを見たらまず間違いなく彼らである。ユタ州準州から正式な州になる時に、一夫多妻を一切廃するというのが条件であった。1890年にその条件を反映して一夫多妻を廃することが決定されて、ユタは1896年に正式に州となった。しかし、実際にはそう簡単には実施されてはいない。その教義のゆえにニューヨーク州からオハイオミズーリ、さらにイリノイへと点々としてきたモルモン教徒は限られた社会の中で宗徒を増やすためにはそうした習慣を続けてきていたのだから、実際ところはモルモン原理主義という人たちが未だにその習慣を続けているといわれているのはあながち間違いではなさそうだ。1980年頃のユタ州にも人里離れたところに大きな家を構えてそうした習慣を続ける人たちが現実にいたことを私は知っている。
 ミット・ロムニーは中絶に対しても反対を唱えだしているし、全米ライフル協会にも加盟しており、州知事選挙の時は増税をしないのは間違いだとしていながら今はジョージ・パパ・ブッシュと同じように「No New Taxes」を唱えだしている。そうした政策の転換に関しても彼は「州知事選挙と連邦選挙とは違う」と斬って捨てる。共和党右派として候補者戦に挑むロムニーがどれほどの支持を得ることができるのかを見ていきたい。