ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

NHKラジオ深夜便

 昨晩は10時頃にもう我慢ができなくなって寝てしまったものだから、午前0時頃に覚醒。しばらくごちゃごちゃやったのだけれど午前2時頃から蒲団に横になる。全然眠ることができず。結局蒲団の中でラジオ深夜便の「こころの時代「硫黄島を生き残って」元海軍通信兵・秋草鶴次」を途中から全部聴く。どうも第2夜だったようだけれども話のすさまじさは充分に伝わってきた。片足に弾丸を受けて切断。動けなかったので最後は気を失った状態で捕虜となり、グァム島経由ハワイ、米国本土の東海岸で捕虜生活を送り、最後はシアトルから復員したという。栃木県足利出身の志願通信兵だったのだそうだ。15歳で志願。帰国した時は18歳。「17歳の硫黄島」(文春新書)*1の著者。この方も話し始めたのはつい最近のことだったという。志願して出征した自分がこんな辛い目に会い続けて生還したのだという話を生前の両親にはとても話せなかったというのである。
 大きな傷を負った兵は硫黄島の壕の中では全くの邪魔者扱いだったのだそうで、その時の周囲の冷たさと辛さは筆舌に尽くしがたい状況だったようだ。早くに捕虜になった戦友が壕の前まで来て、「早く投降しないとやられてしまうぞ」と呼びかける。みな自分で判断しようということになった時に戦友のひとりが「俺は行かん!」といって壕の奥に向かうのを呼びかけ、追いつこうとするが片足ではすぐに引き離され、あっという間に奥で手榴弾を破裂させて自決されてしまう。自分は諦め壕を出ようとするが、そんな中途半端に出ていったのではかえって攻撃されてしまうのではと逡巡しているうちに気を失ったらしく、グァム島の捕虜病院で気がつくまで覚えていないというのである。
 この人も最後にいう。「正しい戦争なんてないんだ!」と。それでも私たちは60年守り続けた世界に誇る宝物をここで捨ててしまおうというのか。

*1:この著書が以前から本屋の棚に並んでいるのは知っていたのだけれど、文春でもあるし、あの映画に相乗りで柳の下の2匹目のドジョウなんてものだろうと全く手に取ったことすらなかったなぁ。