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リベラル・アーツ

文系・理系、選択は入学後 ICU、来年度から新制度 朝日新聞 2007年10月15日06時11分
 国際基督教大学ICU、東京都三鷹市)が来年度から、新入生全員を特定の学科などに所属させず、2年次の終わりに所属を決める新制度を導入する。「(進路を)決めてから入る」から「入ってから決める」への転換で、文系、理系を問わず幅広く進路を選べるようになる。同大学が売り物とする教養教育を充実させるのが狙いで、全学的に徹底するのは国内の大学では珍しい。
 ICUは、学部は教養学部の一つだけで、1学年の定員は620人。現在は人文科学、理学、語学など六つの学科があり、各学科に定員がある。入学試験は教養学部として一本で実施しているが、受験生は第1志望と第2志望の学科をあらかじめ選んでおき、合格時に所属学科が決まる仕組みになっている。
 新制度では学科を廃止して文学、経済学、法学、物理学、心理学、言語学など31の専修分野に再編する。入学時には所属を決めず、様々な分野の基礎科目を2年間学んだ後、自分に合った専修分野を決める。分野ごとの定員はなく、学生は希望通りの分野に進むことができる。
 入学後の学科変更はこれまでも認められていたが、様々な条件があり、それほど簡単ではなかったという。幅広い知識を身につけられるよう、新制度の専修分野は一つに限らず、二つの分野をほぼ対等に学んだり、一つを主、一つを副として学んだりすることもできるようにする。
 ICUの日比谷潤子・教学改革本部長は「入学後に試行錯誤でき、ある分野が自分に合わない場合も簡単に分野を変えられる。より幅広い分野を学ぶことも可能になる」と話している。

 この学校のシステムを本来的な意味でリベラル・アーツというべきなのだろう。米国の大学ではかつてはほとんどがこのシステムだが、ここまで徹底するのはあまり聞いたことがないのではなかろうか。日本では多分ないだろう。これまでのICUのシステムは学科が言語、社会科学、理学、人文、教育、国際に分かれていて、一年の時はほとんど英語の授業に費やし、専門は三学期ある一学期にひとつの基礎講座しか、取れなかった。しかし、その実、英語の授業の中での題材は実際に大学レベルの授業をこなしていくために如何なる考えで、どの様な手段を遣って、どんなルールに従って文字にしていくかを学ぶ。だから一年を終わった時には方法を身につけているという結果になるというわけだ。しかし、一年の時から自分自身で希望して選択した枠組みの中で時間を費やし始めるのだから心構えはできる。
 ここまで一年間で訓練するということが日本の大学の中では実に珍しいのだから奇異な感じがする。ここのところ、大学としてのイメージを確立しなくてはならないという各大学の思惑が様々なことを引き起こしているのだけれど、いくつかの学校ではこの「リベラル・アーツ」を振り回しているが、正確な定義では全くリベラル・アーツとは言い難い状況にある。ただ単に共通科目を多くしただけではならないのだ。
 その点では今度の改正は随分思い切ったことをする。一年生で入った時には自分の方向性すら決めていないのだから。しかし、その時点で決められていない学生が果たして最初の2年間で決められるだろうかという疑問も生まれてくるが、あの学校のことだから、そのまま放り出しているわけがない。どんな具合に学生を刺激していくのか、そこを垣間見てみたいものだ。