ほぼ足りてまだ欲 その先

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保阪正康のコメント

 映画「靖国YASUKUNI」の上映に関する問題について作家の保阪正康毎日新聞にコメントを寄せている。

右傾化、戦前の歴史から学べ−−ノンフィクション作家・保阪正康
 最も懸念されるのは、面倒なことに巻き込まれたくないと言って靖国問題について議論することを敬遠する風潮が日本社会に広がることだろう。言論の自由は、新聞記者や作家が書く自由のみでなく、新聞を運ぶ運転手さんや本を販売する書店員の方たちを含めて社会全体に自由が確立されていなければならない。映画館の従業員が圧力団体の脅しにおびえたり、近隣に迷惑をかける恐れがあるから中止するという理由のみを論じたら社会のあらゆる自由はその段階で最初に制約を受けてしまう。文化庁は封切り前の映画を、問題視する一部の自民党議員の声に押される形で、事前検閲のような異例な試写会を事実上おぜん立てした。表現の自由の制約についてあまりに鈍感過ぎる。「公開されるので見てください」と断るべきではないか。太平洋戦争に至った昭和10年代は、台頭する軍部におもねる言論が増幅していった歴史だ。そういう社会の中であたりまえのことがだんだん発言できなくなった。ときに一部雑誌などで右派の主張が大きく取り上げられる今日、近隣に迷惑がかかるという限定された状況でのみ上映中止問題をとらえると本質を見誤る。社会の右傾化という大状況をどう認識するかの能力が試されている。ただ、上映する映画館が出てきたことは、日本社会にはまだ復元力があるという健全性を示した。(毎日新聞 2008年4月7日 東京朝刊)

 同じ毎日新聞の記事の中にこんな話も書いてあった。

 「シネマート」を東京、大阪で運営する「エスピーオー」(港区)は今月1日、ホームページに経緯を説明する文書を掲載。国会議員による試写会後にアルゴ(岡田裕社長)側に「安全な上映環境の整備」を申し入れたが「中止にすることで了承を願いたい」と申し出があったとしている。これに対し、アルゴは「エスピーオーは、左右両派を招いた試写会を開くことなど実現が難しい条件を提示した」と、ニュアンスが異なる説明をする。両社は公開に向けて話し合いを再開した。

 これを「やらせ」で全マスコミこぞってこの映画の宣伝をしたことになる様に仕向けたのだと主張している人たちもいるんだそうだ。すると稲田朋美文化庁を走らせて国会内試写会を開いたところからその「やらせ」が仕組まれているということなんだろうな。深慮遠謀なり。