ほぼ足りてまだ欲 その先

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二つ見直して欲しい点

 福島の大野病院での産婦人科医師の事件は一審で無罪の判決が出た。この事件はネット上でも多くの議論を呼び起こした。この事件の発覚以降、各地で産婦人科の閉鎖が後を絶たない。子宮の摘出を選ぶか、その後のことを考えて癒着胎盤の摘出に努めるか、現場で瞬時の判断が要求されるわけだけれども、その選択を誤ったときに医師が逮捕される可能性があるのだとしたら、職業としてのあまりのリスクの高さに逡巡するということになるのだろうか。
 詳細についてフォローはしていないが、患者側(この場合は患者本人が大量の出血でなくなっているので遺族)にとっての問題はこれまでの歴史から見た日本の医療に対する訳のわからないいわゆる説明不足が根底にあったのではなかろうか。インフォームド・コンセントという言葉が充分に現場で理解されていないということもあるかも知れないが、元々日本の医療の現場では患者の目の前で記入するカルテひとつにしても患者が一瞥しただけではおよそ理解のできない言葉を用いて記入してきた。亡くなった人はもうどんなことをしても帰ってこないことから不可思議なことがあっても諦めるという文化の中で、この際どうしても理解ができないと説明を求めても了解ができないときに、訴訟ということはあり得る話であろう。しかし、手錠を用いて逮捕拘留というのはいかがなものかという気はする。これではハイ・リスクに過ぎて産婦人科の勤務医はやりたくないという気になるのは自然なことかも知れない。
 データーを患者にわかるように説明するということは最低限、必要なことで、そのためにかかる時間も診療のうちと考える文化を構築しなくてはならない。そのためには医療システムの根本的な見直しが必要になる。
 今日のTBSラジオのストリームで勝谷誠彦が最近の出産現場における患者の非常識な駆け込み出産、未払い逃亡を報告していた。意図的に出産前診断を受診せず、出産間近になって救急車で産院に運び込まれて出産し、挙げ句の果てに金も払わずにこっそり退院してしまう母親の存在である。たしかにこうしたケースが報告されているそうだけれども、そもそも出産そのものを病気ではないのだから(ということは患者が好きこのんでそうしたいんだからという前提に立っているといっても良いかと思うが)保険がきかないという点に問題があるだろうという意見はこれまでもあげられている。一回受診して5,000円〜1万円がかかるのは確かに負担として大きい。ここは出生率の改善を考える上でも、現場の医療環境を考える上でも見直しが必要なのではないだろうか。これもこれまでにも多く議論されているところだろう。研修医の研修場所の規制緩和の見直しとともに、厚労行政はどう考えているのだろう。