ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

新鋭船の行方はいかに

 オーストラリアのタスマニア州ホバートに本拠を置く造船会社INCATの最先端新鋭双胴フェリー、「ナッチャンRena」と「ナッチャンWorld」を昨年と今年に相次いで就航させた、リベラ・ホールディングの1社東日本フェリーは二隻を就航させていた青函航路を「原油価格の高騰、またそれに伴う国内漁業・運輸関係の方々に代表される悲鳴にも似た逼迫された状況、さらには車社会、観光・レジャー等への多大なる悪影響など、小社においても経営環境の激変は想像を絶する事態を迎えており(リベラ・ホールディングのHPから)」、2008年11月から休航するという。投入されたばかりの「ナッチャンWorld」は多分就航後半年にも満たないわけで、まだ補償期間がたっぷり残っている船。こんな話はこれまでに殆ど聞いたことがない。こちらをご覧になるとこの船のかっこうよさがよくわかっていただけると思う。この二隻の双胴高速フェリーは一説によると一隻あたり90億円という建造費だったといわれているが、それが実際にINCATとの契約金額だったかどうかはいつもの事ながら確かではない。
 この二隻のフェリーは休航したあと、リースに出されるのか、あるいは売船されると見られているが、当然のごとく足元を見られた結果の契約とならざるを得ないだろうから、実際の簿価を下回る残念な結果となることだろう。
 この事態はリベラ・ホールディングにとっても痛いが、建造ヤードのINCATにとっても、そしてオーストラリアにとっての対日貿易の貴重な橋頭堡として認識していたタスマニア州政府、豪州政府にとってもショックな出来事ではないか。
 「函館−青森航路については、リベラ・ホールディング傘下の道南自動車フェリー(函館)が、高速船ではない在来のフェリー二隻を引き継ぐ」と北海道新聞が2008年09月04日(16:01)で報じている。

 ところで、高速双胴船の完成式典に出席してお祝いの言葉を述べたタスマニア州政府の経済開発・観光大臣のPaula Wriedt(39歳)は8月のはじめにスキャンダルの結果自殺を図り未遂で病院に担ぎ込まれた。昨日の新聞記事では「私はまだ健康的に回復し切れていないがクビにされるのは不当だ」と発言したと伝えられている。
 なんだか象徴的な話で、そのうちINCATのwave-piercing型のフェリーに乗ってみたいと思っていた私にとっては大変に残念なニュースである。