ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

城山三郎 旗

  一昨日のこと。サッカー中継の裏でNHK NS-2では城山三郎小田実の番組が加賀美幸子アナウンサーのナレーションで流された。娘に嘲笑されるように私はBS同士の局を裏録画する術を知らない。だから、サッカーとこちらを行ったり来たりした。おかげで両チームのゴールシーンを両方とも見逃した。
 で、城山三郎の全集の第1巻に掲載されているという「旗」という詩を知った。

旗振るな
旗振らすな
旗伏せよ
旗たため

社旗も 校旗も
国々の旗も
国策なる旗も
運動という名の旗も

 から始まる詩である。お恥ずかしながら十年ほど前まで私は城山三郎を単なる企業小説家だと断定していた。なにしろ多作である。しかもやたら文庫になっている。これは「受け」狙い作家だろうと。役には立たないけれど邪魔にもならんのだろうと。私は20年ほど考えるということを放棄していた時期があるので、その間に決めつけていたということだろう。佐高信が様々なところで書いていることによって知るようになった。そしてNHKがここ何年か続けている戦争ドキュメントの中で特攻隊についての彼の語りを聴いてようやく彼のよって来たるところを知った。
 しかし、これだけ読まれている作家にもかかわらず彼の本当の気持ちをくみ取った社会の動きにならないのはなぜだろう。やっぱり私のような考えるということを放棄している、せざるを得ない、状況に多くの人たちが陥っているということなんだろうか。それでもこの詩をブログに書いておられる方がこれだけたくさんおられるのだから、きっと変わるだろう。