ほぼ足りてまだ欲 その先

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「報道の魂」

 見慣れない時間にドキュメント番組がTBSから放送されていた。今始まったわけではないらしいのに今まで気がついていない。ウェブサイトをよく見たら月に一回日曜日深夜と書いてある。概ね、日曜日深夜(正確にいうと月曜日未明)24:55からの放送時間には私はこれまで気がついていなくて、日本テレビ系の「NNNドキュメント’08」を見ているか、それを待っていて全く気がつかなかった。
 今日の放送は「ある名誉毀損判決の波紋 - オリコン v.s. ジャーナリスト」というタイトルで雑誌「サイゾー」が記事中に引用したあるジャーナリストの発言、しかも本来の電話取材での説明と異なる傾向の記事になってしまったものを取り上げて、オリコンが雑誌社、編集者ではなく、ただ引用されたジャーナリスト個人に対して50,100,000円の名誉毀損訴訟を起こす。
 
 今、こうした個別ねらい撃ち訴訟に頭を抱えているジャーナリストが増えているようだ。米国のいくつかの州ではこうした嫌がらせ訴訟を20年ほど昔から禁止していると説明がある。ある大手新聞が発行部数を偽装して広告収入を上げている疑いがあるとして、10年間にわたって取材しているジャーナリストが当該新聞から二件の訴訟を起こされているのだそうだ。そのうちの一件は彼が入手したその新聞社の内部文書を入手し、本人のウェブサイトで公表したことが著作権法に触れるというものだという。しかもこの内部文書なるものが妙ちきりんなものだった。販売店に対する嫌がらせが始まりだったそうだ。その支援をしているうちに、当該新聞社がその販売店に宛てて送った摩訶不思議な内容証明付き書簡の中身だったのだ。
 こうした訴訟がまかり通り出すと実は新聞社の記者にも大きな枷となることにその新聞社は気がついていない。全国紙という大変に信頼されなくてはならない媒体がその販売で明確に発行部数を偽装していることをほじくり出せるのはいったい誰だろうか。新聞に喧嘩を売る常習犯といえば出版社系の二つの週刊誌がすぐに思い浮かぶけれど、彼らはこの辺を掘っているのだろうか。
 オリコン裁判でもそうだし、大手新聞裁判でも一審裁判の担当裁判官はまったくこうしたSLAPPの認識ができていないのだそうだ。
 それにしてもTBSだってある新聞社との関連はありそうだし、その新聞社だってこの新聞社のようなことをしている可能性はないのだろうか。結構みんなやっている話だったりして。

 オリコンはお定まりの「係争中の事件につき、社長は取材に答えられない。かわりに広報担当が取材に応じる」ということだったのだけれど、そこに出てきた女性担当者は書いてきましたといわんばかりの口調で、一方的に慇懃無礼に発言。とってもイヤミな雰囲気は良く出ていた。私はどうせ「オリコン」なんてのはいくつもの音楽事務所とできていたりなんかして、かつてのビルボードやキャッシュボックス的な(あれだって充分にありだろうけれど)公正さなんて期待のしようがないだろうと思っているから、通称「オリコン裁判」といわれるこの裁判には全くの話、興味もなんにもなかった。実際の中身はとんでもない話だ。

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