ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

アルプスにインド料理

 「ロンリー・プラネット」という旅行ガイドブックを読んでいたら面白い話を見つけた。スイス・アルプスのど真ん中、ユングフラウという山の肩にユングフラウ・ヨッホという展望台がある。岩山の中をくりぬいて登山電車を通してしまい、外から見ると何もわからないのだけれど、そこへぬーっと到着することができるという施設である。「トンネルの全長は約7km、勾配は最大で250‰(パーミル:25%)。1898年から1912年にかけて建設。(ウィッキペディア)」という鉄道で到着する。
 その岩山に「ぬーっ」と突き出た展望台には、なぜかインド料理のバフェ・レストランがある。真夏にもかかわらず外気は氷点下にもなる気温のその展望台の中はカレーの匂いに満ちているのだ。なぜか。その理由をこのガイドブックが説明してくれていた。
 それはハリウッドを上回るというインドの映画産業(ボリウッド)の力だというのだ。あの突然理由もなく唄になってしまって、突然大人数が踊りだしてしまう映画の撮影がここで行われ、その映画が大ヒットしたらしく、それ以来映画に登場する現場へのファンの巡礼旅行が大流行りし、その結果インド人旅行者が大挙して押し寄せているんだそうだ。話は韓流ドラマの大ヒットで日本から多くのファンがその舞台をたどる旅に押し寄せるというのと同じような仕組みになっているということのようだ。
 夏のアルプス地域は日本人とアラブ人の押し寄せる観光地兼避暑地となっているのが顕著なのだけれど、この地域に来ると突然驚くほどのインド人の家族連れが目立つのにはこんな裏話があったのだとは知らなかった。

Lonely Planet Switzerland

Lonely Planet Switzerland

 ロンリー・プラネットという旅行ガイドブックは日本にやってくるバックパッカー系の外国人旅行者の大半が利用しているといっても良いほどの大ヒットガイドブックだといっても良いだろう。日本の「歩き方」もこのガイドブックの作られ方に影響されているように見えるのだけれど、大きな違いはコマーシャリズムの影響が表に匂うか匂わないかという点が大きいかも知れない。ロンリー・プラネットはバックパッカーに関係がない情報については全く無視する。だから三ツ星以上のホテルを考える人にとっては全く役に立たない。しかし、常にアップ・デイトな情報を盛り込んでヴァージョンを改めていく。
 私はこの本を読むことを楽しむ、という実に二次元的な楽しみ方をする。
 東京でこの本を片手に街の角で目的地を探している外国人旅行者がいるとほぼ八割のケースで声をかけているつもりだ。そういう類いの旅行者だと判断がつくからだ。「あ、ロンプラの愛用者だ!」と。