ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

AIHW

 「豪州健康福利研究所」(Australian Institute of Health and Welfare)は福祉、健康に関する調査資料、データーを集約しては公開している。もちろん当初は印刷物として豪州連邦政府の資料センターで販売をしていた。このセンターでは豪州統計局が発表する資料等も販売していて、日本でいってみれば政府刊行物センターのようなものであった。
 ところが10年ちょっと前にこのセンターが閉鎖縮小された。ちょっと意外な展開にそれから先どうするというのだろうかと思っていたら、なんという事はなくてすべてのアクセスがインタネットのHP上で行われるようになったから販売拠点を開くのはもったいないという事だったようだ。それも登録しておくと新しい資料が発表されると連絡が来る。(これは近年になって日本の統計局もそうしたサービスを開始している。)
 印刷物はネット上で販売するのだけれど、そのうち、pdfフォーマットでサイト上でダウンロードするのだったら無料ということになった。つまり印刷物として入手するのであればその印刷代はもらうけれど、データーとして自分でファイルするのであればタダだということになった。
 ところが最近になってとうとう発表される資料はネット上のファイルでしか入手できなくなった。つまり、こうした資料を必要とする人たちは、ネットにアクセスできない人はいないだろうという判断だと思う。もちろん無料である。
 日本の場合は、「国民の福祉の動向」や「国民衛生の動向」を財団法人厚生統計協会が今でも2千円以上の単価で販売している旧態依然たる取り組みで、実に対照的な事に唖然とする。国民が国の実情を金を出してわざわざ買わないと入手できないのは当たり前だと思っているのは確実に一時代遅れている。税を使って入手したデーターをまとめて印刷したら金になり、それで元高級官僚を養うというスタイルだ。
 この協会の常務理事は元厚生省大臣官房統計情報部社会統計課国民生活基礎調査室長、非常勤とはいえ、会長は環境庁企画調整局環境保健部長だったり、理事には人口問題研究所長、審議会議院等に名前を連ねる福祉系研究者だったりする。こんな具合にいくつもの外郭団体が相変わらず存続していて多くの元公務員の受け皿になっているのだろう。
 この協会のHPなんて涙が出そうなくらいのトホホぶりだ。時代に大きく遅れを取っているのはその存続も、感覚も、そうなんだなぁ。